愛媛県が農産物生産量全国1位、それも7割の生産を誇るのが「せとか」である。別名で「最高級柑橘類」「ミカンの王様」「大トロのミカン」とも呼ばれている。
都内のスーパーにも出回っていて、贈答品としての「せとか」はワンランク上の売り場に飾られ、上物は1個1000円近い値が付けられている。大きさは200~300グラムで夏ミカンよりやや小ぶり。濃いオレンジ色で売り場でもひときわ目立つ。
「2年前に愛媛に旅行した際に道の駅で試しに買って食べて、甘さの深みに驚きました。私の中では、誇張でもなんでもなく、みかんの王様、女王様といった位置づけです。それからは都内でも『せとか』を見つけたら必ず購入するようにしています。1個500円ぐらいで買えますが、もう少し安かったら助かりますね」(30代・会社員女性)
「せとか」は1984年に長崎県の旧農林省果樹試験場で誕生した。「清美」と「アンコール」を掛け合わせた後、さらに「マーコット」を掛け合わせたものだ。試験場の地名が早崎瀬戸だったことから「せとかと名付けられたという。2001年10月に品種登録されて、みかんの産地を中心に生産地が広がっていった。その中で愛媛がトップになった。
「基本的にはみかんの栽培に適した水はけが良い土地ならできるのですが、ある程度の保水性もなければいけないし、育てるには手間暇がかかりますね。3月が旬で、ネット販売も盛んです。地元の直販所だと3個で700円ぐらいでしょうか。それが大阪や東京だと倍ぐらいにはなります」(JA愛媛関係者)
「せとか」は愛媛県内のさまざまなみかん畑で生産されているが、
「松山市の沖合いにある興居島(ごごしま)産の『せとか』が愛媛県では最高級品であると言われています。値段も他の産地に比べて高いですね。山が多い地形で、そこに潮風が当たって甘味が深くなるのではないかと言われています」(前出・関係者)
ちなみに興居島から西に10キロほど行ったところにあるのが、人気番組「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ系)で放送されている無人島の「DASH島」(正式名称は由利島)である。
「さすがに由利島でTOKIOのメンバーが、一から『せとか』を生産するのは困難と思われますが、興居島のみかん農家さんのアドバイスがあれば、あるいは可能かもしれません」(前出・関係者)
「せとか」は、そのまま食すだけでなく加工品である「せとかジュース」や「せとかジェラート」なども販売されている。ただ、ちょうど3月が出荷のピークでネットでも販売されているので、機会があれば食してみるのも良いかもしれない。