冬にコタツに入りながら食べるミカンは実に美味だ。そのミカンにはビタミンCをはじめとする栄養素が豊富に含まれていることは何となく知っている人も多いだろう。しかし、一番栄養素が豊富だったのは、実は捨てられることの多いミカンの「白い筋」の部分なのだ。ミカンにはビタミンCが豊富(100g中35mg)に含まれているほか、ビタミンA、EやB群も豊富なうえ、クエン酸やβクリプトキサンチン、ペクチン、ヘスペリジン、β-カロテン、カリウムなども含まれており、風邪をひいた時や予防に良いと言われてきた。そして最近では発ガン抑制、抗酸化作用、骨粗しょう症予防などに優れた効能があることが次々と証明されている。
ところが多くの人が食べずに捨ててしまう、ミカンの身に添い枝状に弦のように全体に貼り巡らされている白い筋に、さらにすごい栄養素があるというのだ。
「名前を維管束(いかんそく)といい、いろいろな栄養素が含まれている。もちろん食物繊維は多いんですが、ビタミンP(ヘスペリジン)の含有量がすごい。そして、この成分が健康を増進する役割を果たす。というのも維管束は栄養を運搬する役割を担っているので、栄養がぎっしり詰まっているんです」(管理栄養士の小林久美さん)
ビタミンPはフラボノイド(色素)の総称。ルチンやヘスペリジン、ケルセチンなどのフラボノイドを合わせてビタミンPと呼ぶ。 このビタミンPの効能を中島胃腸医院の中島正院長が解説する。
「ビタミンPはポリフェノールの一種で毛細血管を強くするといわれ、血流改善、LDLコレステロールの低下、抗アレルギー作用、免疫力アップなどに効能があるといわれています」
LDLコレステロールの低下は、高血圧や中性脂肪の改善に効果が大きい。
「ミカン、特に維管束は美容にも効果は大きいですが食べ過ぎは体に毒」(前出・小林さん)
冬場はミカンをまるごと食べて健康増進といこう。ただし、何事もほどほどに、という原則は言うまでもない。
(谷川渓)