石氏が、中国政府の裏の顔を明かす。
「中国国民に円借款が使われたことは一切知らされておらず、隠蔽されています。日本のおかげではなく、中国共産党の功績として知らされるのです。日本からの円借款で作られた、その他多くのインフラ設備に関しても、できるだけ中国の人々に資金源を隠していました」
円借款の使いみちは中国政府が決めていたが、一部が軍事施設の整備に使われた可能性などが指摘されるようになる。結果、円借款は08年の北京五輪までに新たな供与が停止されることになったのだ。
しかし、対中ODAのうち、現在まで停止されていないものがある。1つが、返済義務のない資金を供与する「無償資金協力」。もう1つが、技術や知識のある専門家の派遣や、開発計画を支援する「技術協力」である。最近2年間で中国に「貢いだ」金額は以下のようなものになる。
11年:無償資金協力 約13億円技術協力 約287億円 計 約300億円
12年:無償資金協力 約10億円 技術協力 約132億円 計 約142億円
79年から12年までの金額は、無償資金協力約1576億円、技術協力約2900億円の合計約4476億円にもなる。
こうした資金提供によって、浮いた金を中国政府はどのように使っているのだろうか──。
「今、中国はアフリカに対して莫大な経済援助を行っています。そこで資源を奪い取って勢力の拡大を図っている。アフリカは日本の資源の確保先でもあり、日本経済の足腰となる『資源』を脅かしているのに、日本は資金提供をしているということになります」(石氏)
脅かされているのは資源だけではない、中国の世界に対する影響力を強化するためにも使われているというのだ。
「日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか」(小社刊)の著者で評論家の黄文雄氏があきれて言う。
「中国が援助するたびに国連加盟国への影響力が強くなります。例えば、日本が、国連の常任理事国になることへの反対票となるのです。お金を出して、中国が別なところに援助して、国際情勢を反日にするのですからバカバカしい話です」
何より返す必要のない金が、中国人民に行き渡っていない可能性さえあるというのだ。
「ODAなどを提供するなら、まずあの国の構造を見なければなりません。書類上インフラ整備に使われたとしても、役人のポケットに入ってしまうのです。最も清廉潔白と言われている温家宝前首相(71)でも、妻が『ダイヤモンド女王』と噂されているほど蓄財をしているんですよ。中国というのは役人である以上、汚職しないことはないのです。それは共産党という制度の問題ではなく、中国の歴史を見ても明らかです。2000年以上前の、春秋戦国時代から汚職をしていたのですから」(黄氏)