反日はビジネスとしても利用されている。
〈愛国心を叫ぶ反日バー〉
四川省眉山の繁華街にあるバーの入り口に「『日本は中国の領土!』と叫べば2割引き」という貼り紙がある。実際に店に行ったことのある西谷氏は、内情をこう明かす。
「メディアに取り上げられて客が増えるので宣伝のためにやっている“反日商法”です。オーナーは『客寄せの看板にすぎない』とこっそりつぶやいていました」
“反日商法”で客を呼ぶテーマパークも存在する。
〈オナラで日本兵全滅ショー〉
11年にオープンした山西省武郷にある「八路軍文化園」は、抗日をテーマにした施設として観光客を集めている。日本兵と戦闘シーンを演じる参加型プログラムなどが用意されるが、人気は「反日演劇ショー」。物語は中国人が暮らす村落に現れた日本兵たちが村で大暴れ。食事の席で村民に勧められた酒を飲み、酔っ払った日本兵が女性を襲おうとすると、その瞬間、オナラの効果音が鳴り響く。
「演劇のほとんどは歴史を歪曲させた極み。村民が飲ませた酒が下剤入りで、おなかを下した日本兵が総攻撃で全滅させられて幕を閉じる。くだらない内容でも、客は拍手喝采で大満足なのです」(西谷氏)
テレビや映画もゆがんだ反日作品が氾濫していて、そのほとんどが浙江省東陽で制作されている。
〈反日ドラマ・映画大量製造所〉
中国最大の撮影所で、中国版ハリウッドとも呼ばれる「横店影視城」。12年に制作されたドラマ約300本のうち、反日テーマは約200本。そのほとんどがここで撮影されている。反日映画にエキストラ出演した男性が当時を振り返る。
「数年前に中国映画に出演した時は、どの作品も悪い日本軍兵士役。結局、内容が同じでも恋愛ドラマよりも視聴率がいいから反日ドラマを量産するそうです」
中国全土に広がる不快な反日エリア。今後、減少していくことはあるのか。西谷氏に聞いた。
「中国は建国以来、反日を掲げて成長してきた。自国の批判は許さないけど、日本への反日行動は『愛国無罪』で見過ごし、13億人をまとめる道具として反日を利用してきた。それだけに今後も歩み寄ることはありえないでしょう」
日常生活に「反日」がまかり通ることが戦慄である。