「『帰ってきたウルトラマン』は、本当にM78星雲に帰ってしまったんだな。そんな声が多く聞かれます」
ファンの1人がこう語るように、俳優の団時朗さんが3月22日、肺がんのため亡くなった。74歳だった。
団さんの出世作として知られるのは、TBS系で放送された「帰ってきたウルトラマン」(71‐72年)だ。平均視聴率は22.7%、最高視聴率は29.5%(最終回・3月31日)を記録した。
「制作当初は、初代ウルトラマン(66‐67年)が、そのまま帰ってきたことを想定していたことから、『帰ってきたウルトラマン』とタイトルがつけられたそうですが、グッズの売り上げを考慮して、まったく別のウルトラマンになった。当時は『新マン』『帰りマン』と呼ばれ、後に『ウルトラマンジャック』と正式に名づけられました」(エンタメ誌ライター)
団さんは、日本人の母とイギリス系アメリカ人の父の間に生まれた。身長187センチの長身に加え、彫りの深い顔立ちで、ウルトラファンを一気に拡大した。
「初代ウルトラマンは、ウルトラマンと主人公のハヤタが分離して最終回を終えますが、『帰ってきたウルトラマン』は、団さん演じる郷秀樹がウルトラマンのまま、故郷のM78星雲に帰って行った。そんな物語の経緯から、冒頭のような表現で、団さんの逝去を惜しむファンの声があがったんです」(前出・エンタメ誌ライター)
某番組出演の際、ウルトラマンジャックのライバルを聞かれて「仮面ライダー」と即答した団さん。当時、人気を二分するヒーローの名をあげて敵愾心をあらわにしたものだ。その「ウルトラマン愛」は本物だったのである。合掌。
(所ひで/ユーチューブライター)