芸人の父親はかくも喧嘩っ早い男が多いものか──。
鬼越トマホークの金ちゃんの父親は、居酒屋店主をしながら演歌歌手としても活動している。喧嘩とは無縁の男のようにも思えるのだが、息子は「ウチの親父、左手の小指ないです」と衝撃の発言をしている。
「(店のある)板橋って昔、住民の半分ぐらいが反社だったのよ。ヤクザの方がね、よくウチの店来てて。で、その本職の方が『おい、この味噌田楽の味噌、甘すぎねぇか』ってキレたら、ウチの親父が『味噌田楽の味噌って、甘ぇもんだろうがよ!』って、ヤクザの方と喧嘩になっちゃったのよ」
結果、公園に呼び出され、殴り合いの決闘に。
「ウチの親父はバッと押し倒して。で、有利にはなったらしいんだけど。ガンッて押さえつけた時に、向こうのヤクザの口に親父の小指が入っちゃったのよ。そしたら、あっちに噛みちぎられったって。逆にヤクザにけじめつけられるっていう」
きっちりとオチをつけた金ちゃんだった。小指は鷹の爪ぐらいしか残っていないようで、
「演歌歌手もやってんだけど、必ず右手で歌って、握手する時は、マイク持ち替えて右手で握手すんの。で、子供の頃はよく『お父さん、どうしたの、小指ないけど』って言ったら『ピラニアに食われたんだよ』とか『ライオンと決闘したんだよ』って言ってたけど」
平成ノブシコブシの吉村崇は6歳の頃、母親が家を出て行ったという。
「ヒゲのオジさんっていう、母親が働いていた喫茶店の常連さんに持ってかれて。デキちゃって」
吉村はそう振り返る。
当然、怒った父親が「取り返しに行くぞ」と寝取った男と対峙したが、返り討ちにされてしまったという。
「それを見てんですよ、ボコボコにされるところを。俺が6歳じゃないですかね。鮮明に覚えてますよ。一発蹴られたんじゃないですか。顔面も殴られて。脳振とう起こして、尻もちついてましたから」
今では「親父と話して『あの時、殴られたな』って」と楽しい昔話になっている。熱くはなっても実力が乏しいという点は、吉村の芸風に近いものがあるかもしれない。
(坂下ブーラン)
1969年生まれのテレビディレクター。東京都出身。専門学校卒業後、長寿バラエティー番組のADを経て、高視聴率ドキュメントバラエティーの演出を担当。そのほか深夜番組、BS番組の企画制作などなど。現在、某アイドルグループのYouTube動画を制作、視聴回数の爆発を目指して奮闘中。