統一地方選挙が佳境を迎えつつある。
これまでウグイス嬢の裏話を2回にわたって報じてきたが(4月10日、15日公開記事)、その3弾をお送りしよう。関西在住で40代のUさんは大学生時代からウグイス嬢を経験し、イベントコンパニオンや劇団員でもあったため、人前で喋るのは得意だ。現在は若いウグイス嬢をスカウトして教育し、それを懇意の候補者に届ける「親方」の仕事にシフトしている。
ウグイス嬢として雇われる際には履歴書を事務所に提出するが、これが本当にザルで、年齢などは自己申告でOKだという。
「今度、私は何歳にしようかな」
「Aちゃんは若く見えるから、29歳でええんちゃうの」
「そうしよーっと」
実年齢は35歳だが、こんな調子でサバを読むウグイス嬢はザラにいるという。ウグイス嬢の法定支払い価格は1日1万5000円と決まっているが、ここにも抜け穴があった。Uさんが打ち明ける。
「1日1万5000円ですが、何時間働くという規定はないんです。街宣車は朝8時から20時まで走れますが、そうなると12時間ですよね。私はウグイスが動ける時間をちゃんと聞いて、例えば8時から12時まで4時間。そして次が12時から16時、そして16時から20時というシフトを組んでやる。それぞれに1万5000円が支払われることになるため、ウグイスたちはピーピーと喜んでいます」
そのぶんお金がかかるからと、事務所はいい顔をしないというが、苦戦中の候補者のところに精鋭のウグイスを出せば、喜んでくれる。要は付き合いが大事だということなのだ。
広島県で発覚した河井案里元議員の公選法違反事件は、広島じゅうの県議らが事情聴取を受けたことで、大騒ぎになった。
「実はあの件があってから、警察も選管も厳しくなったんです。私は謝礼で票の取りまとめはしていませんが、ちょっと困ったことがありまして。選挙が終わって3カ月ぐらいで、選挙違反の取締りは解散になる。だから、法定費用を越える謝礼をウグイス嬢に支払う場合は、3カ月が過ぎてから渡すのが恒例になっていました。でも、それも厳しくなったようです」(Uさん)
全国的にウグイス嬢という言葉は認知されているが、男性はなんと呼ばれているのだろうか。
「カラスです。カラスはその支持団体の方がマイクを握って応援するみたいです。あまり需要はありませんが」(Uさん)
Uさんは今日も、関西の市議選応援ウグイス嬢のチェックに奔走している。