新たなヒーローが現れるのを待つだけでなく、現有戦力で戦うには、どうしてもベンチワークが重要になる。しかし伊原氏は、9日の広島戦での「ある采配」に厳しくツッコミを入れる。先発投手の赤星優志(23)への代打で試合に出た松田宣浩(39)が、そのままセカンド守備についた件だ。
「今まで守ったことのない守備位置につかせて、エラーもしたでしょう? ビックリしたどころじゃないですよ! 原監督の腹の中がまったく読めません。あの試合、正セカンドの吉川だって出てなかったんですから、守備コーチも止めなきゃいけませんよ! もっと言えば、もう今年40になる選手ですよ。私なら監督に『取らないほうがいい』と進言しています。誰も注意するコーチがいないんでしょうね」
巨人において原監督への「全権委任」は誰もが知るところだ。それもあって、チーム内は原監督の顔色をうかがう人材だらけになっているという。そんなイエスマンだらけの上に、
「現在の原監督は、熱しやすく冷めやすい性格のせいでコーチとの絆が希薄になっています。わかりやすい例でいえば、今季より1軍から遠ざけられた桑田真澄ファーム総監督(55)との関係。選手の立場に立って原監督に進言する桑田さんは煙たがられて外されてしまった。今では2年前に監督みずから招聘したことについて『間違っていた』などとこぼすこともあるそうです」(球団関係者)
阿部慎之助ヘッド兼バッテリーコーチ(44)や元木大介作戦兼内野守備コーチ(51)も、そんな原監督のことを面倒くさがって、コミュニケーションを取ろうとしないというのだ。これではベンチワークも何もあったものではない。
「原監督はかつて、引き際の美学をこう語っていました。『俺はさあ、みんなから後ろ髪を引かれる思いで辞めていこうって、そういうのがあんだよ。罵倒されて辞めるのはよろしくねえじゃん』。本人はその言葉通り、まさに今年、契約を残してきれいに、惜しまれながら辞めたいんです。そのためには日本一しかない」(球界関係者)
だが今の巨人の惨状では、誰が原監督の勇退を惜しんでくれるだろうか。少なくとも勝利のため、恥も外聞も捨てベンチ一丸となる必要があるはずだ。