投手陣ではエースの菅野智之(33)が右ひじのハリを訴え、2軍調整を続けている。だが、復帰登板はまだ先のことになるようで、
「菅野は坂本同様、ケガが回復したらすぐに1軍に帯同できるエース特権を持っていました。しかし現状、首脳陣からは、最低でも1、2回は2軍戦で登板させないと1軍復帰させられない、とお達しが出たようなんです。ここで問題なのが、2軍には登板機会を与えて上に引き上げたい投手が順番待ちしていることです」(飯山氏)
具体名を挙げれば、昨秋に左ひじを手術した21年の11勝投手・高橋優貴(26)、昨季5勝を挙げた山崎伊織(24)、19年ドラ1投手の堀田賢慎(21)、昨季55登板と中継ぎでフル回転した今村信貴(29)らだ。加えて、菅野自身の状態も決して楽観視できるものではないというのだ。
「菅野にとって近年のスランプの最大の理由は、右足に力が入らず、力強く地面を蹴って球をリリースできなくなっていることらしいのです。今季も、キャンプと現在では投球フォームがまったく違う。本人も試行錯誤しながらフォーム改造をしているのですが、その調整も含めればさらに上に上がるのに時間がかかるはず」(飯山氏)
ならばここは「大エース」の復帰は先送りしてでも、生きのいい若手を1人でも多く1軍に送り届けたほうが、チームのためになりはしないか。ただ、遅きに失した感が否めないのも確かで、伊原氏が続ける。
「新外国人3人がローテーション投手、というのは行き当たりばったりすぎますね。結果的にそこそこ投げれてますけど、チーム作りの初期段階がおかしいと言わざるをえない。これはローテのことだけじゃなくて、打線が組めないのも同じことです」
江本氏も同様に、巨人の「準備不足」を嘆く。
「リリーフ陣を見ても、大勢(23)はよくても、その前を投げる7回、8回を任せるピッチャーがいないんですよ。キャンプやオープン戦でそういう選手を作ってこないといかんね。打線の復活をただ待つだけじゃなくて、今からでもゲームを作れる中継ぎを作るのも並行してやっていかないと、手遅れになりかねないよ」
もはや信頼できる生え抜きは大勢と戸郷翔征(23)、打者では岡本和真(26)ぐらい。その岡本にしても打率は残すものの、得点圏打率はなんといまだに0割なのだから、チーム停滞の根は深いと言わざるをえない。