4月23日に投開票が行われた函館市長選は、無所属新人の大泉潤氏が、4期目を目指す現職の工藤寿樹氏を大差で破り、初当選を果たした。
今回の函館市長選は、現市長と市職員による異例の「師弟対決」であること、さらには大泉氏が北海道出身の俳優、タレントとして知られる大泉洋の実兄であること、この2点が有権者の大きな関心を集めていた。
果たせるかな、結果は大泉氏が工藤氏に7万票以上もの大差をつけての圧勝。まさに北海道における「大泉洋ブランド」をまざまざと見せつけた、ブッチギリ劇だった。
その予兆は工藤氏も感じていたようだ。出陣の際、工藤氏は「大泉には任せられない」と気勢を上げる一方で、支持者らを前に、次のような嘆き節も口にしていたのである。
「本人(部下だった大泉氏のこと)はどうってことないんですけど、タレント(大泉洋のこと)の姿がチラついて、厳しい選挙だと受け止めている」
一方の大泉氏は「自分の政治活動と弟のことは別」と公言し、実際に弟が選挙期間中に函館入りすることはなかった。
だが、当選確実が報じられた直後のインタビューでは、次のようにホンネを吐露してみせたのである。
「弟の知名度がなければ、今日の勝利はなかった。弟には本当に感謝しています」
今回の選挙戦を取材してきた地元記者も、次のように指摘する。
「大泉氏は工藤氏の市長秘書を務めた人物。しかし、ガチンコの師弟対決というだけでは、ここまでの風は吹かなかったでしょう。やはり大泉洋の存在は絶大だった。地元政界からは早くも『次は北海道知事か国政へ』との声まで上がっています」
大泉氏は新しいタイプの「タレント市長」と言えるかもしれない。