国政で躍進が続いていた日本維新の会が、ここにきて失速の気配だ。永田町関係者が解説する。
「維新は昨年の衆院選挙で41議席を獲得。今夏の参院選でも12議席、比例代表での得票は約785万票で、野党第一党たる立憲民主党の677万票を上回りました。いずれは政権を奪う勢いさえ感じていた関係者は多かった。ところがその快進撃が、急に怪しくなってきているのです」
というのも、11月20日投開票の兵庫県尼崎市長選で、日本維新の会新人、大原隼人氏が、無所属新人で自民推薦の前市教育長・松本真氏と一騎打ちの末、大差で敗れたのだ。維新はこれにより、公認候補を立てた兵庫県内の市長選で5連敗となった。維新関係者が嘆く。
「参院選後の8月に、松井一郎大阪市長が維新代表を辞任して馬場伸幸氏にバトンタッチ。その馬場代表は来春の統一選で、地方議員を現有の1.5倍とする600議席を目指している。地方を固めた先には、自民党の存在を揺るがす本格的全国政党にする肚があるといいます。尼崎市長選はその前哨戦として、絶対に負けられない戦いでした」
告示前から党幹部、秘書ら約100人が続々と尼崎入りし、共同代表の吉村洋文・大阪府知事も乗り込むなど、万全の態勢で臨んだ揚げ句の敗北。それだけに、維新幹部の落胆ぶりは激しい。
敗因はどこにあるのか。選挙アナリストが分析する。
「細かいスキャンダルが相次ぎ、議員の資質が問われているのです。例えばモデル出身の女性市議が元国会議員の男性になりすまし、旧統一教会と元議員の関係性を示すビラを配布したとして告発され、離党、議員辞職に追い込まれました。中条きよし参院議員は、国会で自らの芸能活動をPRするという珍事をやらかして大騒動に。これらに加え、国政選挙での大躍進に各党が警戒を強め、尼崎市ではオール反維新で結束したことが挙げられます」
自民党関係者が言う。
「結局、維新は『創業者』である橋下徹元大阪市長と松井一郎大阪市長の2人の人気で拡大してきた。その橋下氏に続いて松井氏が退いた途端に、この暗雲。馬場さんではもたないんじゃないか」
こうした声や敗北を踏まえ、来春の統一地方選でどこまで意地を見せられるかが、馬場代表にとっては最大の焦点。庶民人気の高い吉村共同代表がどう動くかも、大きなポイントだろう。
(田村建光)