情けない登板が続き、ついに中継ぎに配置転換されたアスレチックスの藤浪晋太郎。4月26日(日本時間27日)のエンゼルス戦では6回からマウンドに上がり、2回2安打1失点3奪三振となんとか無難にまとめたが、またもや四球を与えるなど、完璧とは言い難い状態だ。
地元ファンからはブーイングが出ているが、それ以上に批判を浴びた「先輩」を覚えているだろうか。2006年オフ、当時の額で約30億円のポスティング費に加え、5年約23億円+出来高の大型契約を結び、阪神からヤンキースに移籍した井川慶だ。
鳴り物入りでメジャーの名門チームに入団したのはいいが、2年間で16試合に登板(先発は13試合)し、2勝4敗、防御率は1年目が6.25、2年目は13.50という成績に終わり、残りの3年間はマイナー生活となった。米在住ジャーナリストが振り返る。
「アメリカのメディアでは、井川の獲得はヤンキースの史上最悪の補強の中でも『ワースト1』と酷評され、チームの暗黒史となっています。この時は宿敵のレッドソックスが西武・松坂大輔を獲得し、焦ったヤンキースが井川の獲得に乗り出したというのが実情。完全にババを引かされる格好となりました。藤浪はポスティング費8800万円、年俸約4億円ではありますが、資金が潤沢ではないアスレチックスにとっては、完全な黒歴史扱いになるかもしれません」
井川はヤンキースをクビになった後、阪神時代の恩師である岡田彰布監督のオリックスへ入団。3年間で7勝した後、戦力外通告を受けている。藤浪の最後の預かりどころはあるのか。なんと、巨人の原辰徳監督が手を挙げているというのだ。
原監督は、藤浪が阪神の2軍でくすぶっていた頃、何度も「ウチに預けてほしい」とトレードを打診していたのだと。藤浪のメジャー移籍に際してもトレードの可能性を模索し、野球解説者の江本孟紀氏にはかつて「藤浪を出してよ、と阪神には言っている。俺がちゃんと男にするから、と」などと打ち明けていたのである。
かつて稼働した「野村再生工場」ならぬ「原再生工場」で、藤浪が奇跡の復活を飾る日は現実のものとなるか──。
(ケン高田)