ジャニー喜多川氏によるジャニーズタレントへの性的加害問題は、社長の謝罪動画で鎮火するのだろうか。
芸能界を震撼させているこの一件が、政界をも巻き込む大騒動に発展したからだ。松野博一官房長官が「一般論として」と前置きした上で、
「性犯罪、性暴力は被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為で、決して許されないものと考えます。同意のない性的行為は性暴力です」
と異例の言及。ジャニー氏の問題自体には、政府としてのコメントは出さなかったものの、時の政権がこうした問題に触れることから、いかに一般社会への影響力が強いものかが窺えよう。
さらに立憲民主党は、被害を訴えている元ジャニーズJr.のカウアン・オカモトらを招いたヒアリングを、5月16日に国会内で開くという事態に。法務省や警察庁、こども家庭庁の担当部局関係者も出席し、説明を受けたが、その目的は「地位を利用した性加害を法改正で防げないか」というものだ。カウアンは、
「立場が上の人から要求された時に、拒むのは難しい。自分は名前を出して起きたことを発表した。これで社会が意見を聞いてくれるようになっている」
と訴えており、同じくヒアリングに出席した元ジャニーズJr.の橋本康も法改正の必要性、被害者が声を挙げられる環境整備を説くとともに、藤島ジュリー景子社長の「事実認定」について、次のように持論を語った。
「事実がある、ないの部分は濁していたが、そのままにしておくと、これからもズルズル話が長引くのではないかと心配している」
性加害については「知りませんでした」と釈明した、ジュリー社長。
「過去にはこの問題の報道をめぐる裁判があり、ジャニーズ事務所は敗訴しています。知らなかったというのはなかなか考えにくいことですが、その際、ジャニー氏から事情を聞き取った上で適切に対処していれば、ここまでの騒動にはならなかったのかもしれません。今回のジュリー社長の謝罪で、何かの第一歩が始まった気がします」(芸能記者)
ジャニーズファンの有志団体は「事実を認めた上で、責任をもって被害者に謝罪してほしい」と求めているが、ジャニー氏亡き今、いかにしてその要望に応えるかが、事態鎮静化のカギを握っている。
政界を巻き込む社会問題となったこのスキャンダルの「落としどころ」を、ファンを含む様々な関係者が注視している。