性加害問題で揺れるジャニーズ事務所が9月7日午後、初の記者会見に応じた。会見に臨んだ藤島ジュリー景子氏、所属タレントの東山紀之らは、ジャニー喜多川氏による性暴力が長年にわたって行われてきた事実を認めて謝罪。その上で、組織体制の刷新も含め、以下のような対応策に乗り出すことを公にした。
●藤島ジュリー景子氏は責任を取って社長を辞任する
●代わって東山紀之が新社長に就任し、年内をもってタレント活動から身を引く
●金銭的賠償をはじめとする被害者救済の責任を全うする
●株式会社ジャニーズ事務所(英文商号Johnny&Associates,Inc.)の社名は存続させる
だが、当面の間はジュリー氏が代表取締役の座に留まり続けるとされたこと、同氏が100%保有する同社株の取り扱いについては明言されなかったことなどから、ジャニーズ事務所の本気度を疑問視する声も数多く聞かれた。
そんな中、「社名は存続させる」とされた今回の決定を憂慮する声が上がっている。性被害問題に詳しい臨床心理士が指摘する。
「社名の『ジャニーズ』を英語で表記すれば『Johnnys』となります。この場合、末尾にある『s』は複数形を意味するものとなり、素直に考えれば、ジャニーズは『ジャニーズ事務所に所属するタレントたち』ということになります」
ところが、別の英語表記で見ると、事情は一変するというのだ。臨床心理士が続ける。
「ジャニーズは『Johnny’s』と表記することもできます。この場合の『’s』は占有を意味する記号となり、性被害を受けていた少年タレントたちの目には『自分たちはジャニー喜多川氏のものだった、つまり異常な性癖を満足させるための占有物だった』と映るでしょう。要するに、ジャニーズという社名が存続する限り、性被害者らの忌まわしい記憶、いわゆるトラウマは永遠に消え去らないのです」
茶番とも言える社長交代劇の陰で断行された、社名存続。いずれにせよ、解体的出直しとはほど遠い会見内容だったのである。
(湯川歩)