そこまで安倍総理が石破氏にライバル心を燃やすのは、ただ脅威を感じているだけの話ではなく、“怨念”すら感じられる。有馬氏によれば、
「総裁選を戦った、それも脅かされた相手を好きになれないでしょう。また、第一次安倍内閣の時には、テレビ番組で『(辞任は)ご自身が言うしかない』と、退陣決断を促すような発言をされていますからね」
さらには、「9月の解散・総選挙」の思惑も入り乱れ、2人の水面下のバトルはヒートアップしていった。鈴木氏が解説する。
「幹事長の石破さんにしてみれば、ふざけるなって思いですよ。『結局、解散となったら、(選挙を仕切る)幹事長はオレじゃないんだね』ってことですからね。表面上は穏やかでも、激しいやり取りを展開していた」
この幹事長続投への強い思いが、8月25日のTBSラジオ番組での発言に表れたとも言えよう。
「この席で、『首相と考えが100%一緒の人が国会で答弁するのがいちばんいい』と、安保相辞退の意向を明言し、『地方(選挙)できちんと勝てるようにして初めて政権奪還が完成する』と、幹事長続投を希望した。結果、安倍サイドばかりか、自民党内からも『首相の人事権を収奪する動き』と批判が高まり、立場を悪くし、墓穴を掘った格好になった」(デスク)
蓋を開ければ、「組織人としてトップの決定に従うのは当然」と腰砕けに終わった石破氏の造反劇。来年の総裁選に向け、両者にしこりが残ったことだけは間違いない。