あれはまさしく「芸術」だった──。
ボクシング元WBA世界スーパーフェザー級王者の内山高志氏をしてそう唸らせたのは、WBO世界スーパーフライ級王者となった中谷潤人だ。5月20日(日本時間21日)に米ラスベガスで、元WBA世界スーパーフライ級王者・アンドルー・モロニー(オーストラリア)との王座決定戦に臨み、12ラウンドKOで戴冠したのである。
2回と11回にダウンを奪い、最終12回には左フックのカウンターでトドメを刺す、鮮やかな勝利。米スポーツ専門チャンネルESPNの元ライター、スティーブ・キム氏が「中谷潤人は年間最優秀KO賞になるかもしれない」と自身のTwitterに綴ったほどだ。
内山氏は自身のYouTubeチャンネル〈内山高志KOチャンネル〉でこの戦いを振り返り、中谷の距離感の取り方とアッパーの連打を絶賛。12回のKOパンチは「芸術だ」とまで言わしめたのである。そして、中谷と戦わせてみたい相手として挙げたのは、元WBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔だった。
井岡は同級1位だった中谷との指名試合を回避し、2月18日に王座を返上。中谷はその空位となった王座を獲得した形だ。
井岡は階級を上げるわけではなく、22年12月31日に対戦してドローに終わったWBA世界スーパーフライ級王者ジョシュア・フランコ(アメリカ)との再戦に挑む、というのが王座返上の理由だったのだが、
「井岡に自信があれば、中谷を下して堂々とマロニーと2度目の統一戦に挑めばよかった。逃げたと言われても仕方のないタイミング、選択でした」(ボクシング関係者)
だが、内山氏は言う。
「井岡対中谷、チョー見たいですね。やってくんないかな…」
であれば、井岡がWBAのベルトを獲った後での、中谷との統一戦か。
(所ひで/ユーチューブライター)