王座統一戦がまさかのドロー、その1カ月半後に王座を返上した井岡一翔には、さまざまな意見が飛び交った。WBOが指名した中谷潤人との試合を回避して、ジョシュア・フランコとの再戦を選んだことから「男を下げた」とまで言われたものだ。そんな因縁の統一戦を振り返ったのが、レジェンド・具志堅用高氏だった。(1月5日配信)
「王座決定戦でドロー。お互い防衛っていうのはあまり聞いたことないけど、そういうのあるかな。確かに難しい採点だったと思うんだけど、テレビ見た一般の人は、フランコにつけるんじゃないかな。見た目は井岡、負けてますね」
大晦日に行われたWBO世界スーパーフライ級王者・井岡一翔と、WBA世界同級王者ジョシュア・フランコ(アメリカ)の王座統一戦のドロー判定について、YouTubeチャンネル〈具志堅用高ネクストチャレンジ〉で私見を述べたのは、元世界王者の具志堅用高である。
井岡は日本人初となる複数階級での2団体王座統一を懸けた一戦となったが、最終ラウンドまでもつれた結果、判定はドロー。互いに防衛となった。具志堅氏は言う。
「パンチを出さなくちゃいけないじゃない、ボクシングってスポーツは。(井岡は)数が少ないんですよ、パンチを打つ数が」
ガードを固めてカウンターを狙う意図は分かるが、ロープ際に押し込まれる展開が多かったことに「イメージが悪い」と、具志堅氏は苦言を呈したのだった。スポーツライターが言う。
「90年代に活躍した元WBA世界スーパーフライ級王者・鬼塚勝也は、王座を獲得した92年4月10日のタノムサク・シスボーベー戦、3度目の防衛がかかった93年5月21日の林在新との一戦、さらに94年4月3日の李承九との5度目の防衛戦と、いずれも判定までもつれたのですが、『勝者・鬼塚』のコールに首を捻る視聴者や会場のファンは多かった。鬼塚はこれでヒール扱いされることも増えたが、井岡も似たような境遇を辿ってしまわないかと…」
手数と攻勢をとるか有効打を重く見るか、判定の基準はジャッジによる。とはいえ、今回のタイトルマッチにおいては、具志堅氏の「ジャッジ」に賛同するボクシングファンは多いのではなかろうか。井岡の次の防衛戦に、試練が訪れるかもしれない──。
(所ひで/ユーチューブライター)