テリー でもさ、いくら天才だからって、まだ20歳でしょう。そんなに信用して100万も預ける?
木本 でも会って、目の前で取引するところを見たら、神がかってたんですよ。もう一瞬で利益を出して。
テリー へぇ、そうなんだ。例えばその彼はどんな格好してるの? 白いタキシードを着て、胸ポケットからバラを出したり?
木本 マジシャンじゃないんですから(笑)。Tシャツにジーパンみたいな質素な格好です。
テリー そんなの全然カリスマ性ないじゃん!
木本 それが逆に刺さったんですよ。シンプルな格好で、髪の毛だけちょっとシルバーヘアでね。「生まれつきこういう髪の色です」って言うから「漫画に出てくる天才や」と思って。
テリー そうか(笑)。
木本 それで「上京して、会社を作って、本格的にトレーダーとしてやっていきたい」って言うから、「それなら俺のお金を運用してよ」っていう話になったんです。
テリー でも、今のところは100万円の話じゃない。それがどうして大きくなっていくの?
木本 それが、いつもの集まりで、「今こういう子がいて、俺100万を運用してもらうねん」っていう話をすると、やっぱり「俺も頼みたい」「とりあえず今、財布に入ってるこのお金を渡しといてほしい」みたいな話になるんですよ。で、「わかった。とりあえず1回会って話聞いた方がいいと思うよ」って言って、後日その彼とみんなに会ってもらって、実際こういう風にやりますみたいなデモ画面も見せて、みんなが「すごい」「やっぱり本格的にやる」ってなって、合計10人で、1億7000万集まったんです。
テリー すごいなぁ。でも、それは増えなかったんだ。
木本 そうですね。そこが本当に甘かったんですけど、複利で運用してたんで、お金を預けっぱなしにして、経過は口頭で聞くだけだったんですよ。例えば僕の場合は100万預けたのが「今月の利益は20%でした」「その翌月も20%でした」みたいな。
テリー 複利で20%だと、100万が120万になって、120万が144万か。アッという間に200万になっちゃうね。
木本 僕は4カ月ぐらいで200万になるって聞いてました。だから単利で、毎月ちゃんと出た利益をもらってたら、おかしいことに気づいたかもしれないですけど‥‥。
テリー その時は信用しちゃってるからね。
木本 しかも彼から「木本さん僕にお金預けてください、増やしますよ」って言われたなら、警戒したかもしれないですけど、僕から「運用してほしい」ってお願いしてるんで、騙されるなんて一切考えてなかったですね。
テリー それが何で怪しいと思うようになるの?
木本 4カ月か5カ月ぐらい経って、Aと一緒にトレードをしてる仲間がいたんですけど、その彼とAの言ってることが、時々かみ合わないことがあったんですよ。ほんとに小さな違和感だったんですけど。その時に初めて、預けっぱなしは怖いから、担保としてお金を戻そうと思って、「とりあえず1億7000万から利益が出た分から戻してほしい」て言って、6000万ぐらい預かったんですよ。全額戻してもらったら一旦みんなに返そうと思ってたんですけど。
テリー それは何で?
木本 何かおかしいんでみたいな話をすると、みんなが不安になると思ったんで。ところが、その矢先に急にAと連絡が取れなくなってしまったんです。