お笑い文化が発展している大阪には、天才芸人の萌芽が豊富だ。期せずして、有名芸人が多く通った名門校が生まれてしまう。中学では、守口市立梶中学校。中川家の剛と礼二、ますだおかだの増田英彦、落語家の桂三度(元・世界のナベアツ)が卒業生だ。
大学では大阪芸術大学。ミルクボーイの内海崇と駒場孝、ななまがりの初瀬悠太と森下直人、空気階段の鈴木もぐらの出身校だ。
大学では「芸大」(げいだい)と双璧を成すのが「近大」(きんだい)こと近畿大学。阪神タイガース・佐藤輝明の出身大学としても知られるが、近年は知名度抜群の人気芸人を多く輩出している。
漫才日本一を決める「M-1グランプリ」優勝コンビの霜降り明星・せいや。21年のファイナリスト、ゆにばーすの川瀬名人。コント日本一を決める「キングオブコント」(KOC)覇者のコロコロチキチキペッパーズのナダル。3年連続決勝戦に勝ち進んだ、ニッポンの社長のケツ。「女芸人No.1決定戦 THE W」の決勝戦に進出したヒコロヒー。村上ショージの娘で元芸人、現在は女優のつみきも同校卒業生だ。
大学時代、妙縁を育んでいたのは、大人気のせいやとヒコロヒーだった。エンタメライターが言う。
「ヒコロヒーは大学主催のお笑いイベントに出演して、松竹芸能の関係者の目に止まって名刺をもらい、のちに松竹に所属しました。その2年後、せいやが入学。このイベントに出場した時の審査員が、ヒコロヒーだったのです。イベントでは松竹の先輩、なすなかにしと一緒に審査員席に座っていたヒコロヒーは、せいやのコンビに100点満点を出しています」
せいやは昨年、近畿大学の入学式にサプライズゲストとして登場し、式典のMCを担った。今年は同じくOBの音楽プロデューサー、つんく♂が3年ぶりに式典の総合プロデュースを担当。書き下ろしたオリジナル曲「Get the Glory~もっと未来へ!~」を発表している。午前と午後の2部制だった式典には、せいやとナダルも参加した。
M-1、KOCに続いて、3人目のコンテスト覇者が誕生しても不思議ではない近大。球界の時代を担う佐藤のように、お笑い界のニュースターの登場を願うばかりだ。
(北村ともこ)