楽天・田中将大が今オフ、引退を回避し、200勝達成のため、セ・リーグ移籍を視野に入れ始めているという。
田中は今季開幕の時点で200勝まであと10勝と迫りながらふがいない投球が続き、6月5日時点で3勝3敗。防御率は3.96で、規定投球回をクリアした投手の中ではリーグ11位と、並みの投手に成り下がっている。
かつては日本球界で無双といわれたが、2021年にヤンキースから日本球界に復帰して以降、目立った成績は残していない。初年度はわずか4勝で、昨年も9勝。9億円という国内最高年俸が今季は4億7500万円と、大幅ダウンした。だが、それでも破格であることに変わりはない。スポーツ紙デスクが言う。
「球団としては、200勝フィーバーで商売になる、と踏んでいたための大盤振る舞いだった」
今季の楽天は投打ともリーグ最下位のチーム打率、チーム防御率が示すように、チームはガタガタ。石井一久監督の休養、途中解任も囁かれ始めている。
昨シーズン終了後、田中は在京セ・リーグ球団へのFA移籍を視野に入れていたという。だが石井監督の強い要望もあり、楽天に残留。その監督が交代となれば、強い後ろ盾を失うことになる。まして親会社の楽天がモバイル事業で700億円以上という巨額の営業赤字を出しており、残留することになっても、4億7500万円からの大幅ダウンは避けられない。最悪、事実上の戦力外通告を受け、引退もチラつく状況になりかねないのだ。
田中はヤンキースと当時、7年総額1億5500万ドル(当時のレートで約161億円)で契約を結んでおり、もはや金銭面のこだわりはないだろう。だが、今年は参加を熱望していた侍ジャパンのメンバーから落選。その上、2年連続での大幅ダウンを強いられては、プライドが許さない。
そこで持ち上がるのが、田中が希望した在京セ・リーグ球団への移籍だ。
「200勝にこだわりもあるし、強打のDeNA戦で好投したように、セ・リーグのチーム相手なら、まだまだ通じると考えても不思議ではない。営業含みで今季並みの年俸を払う球団もあるでしょう」(前出・スポーツ紙デスク)
「引き際の美学」という言葉もあるが、とりあえず昔の名前で外へ出ようというわけか。
(阿部勝彦)