楽天・田中将大がついに、全ての特権を剥奪される。
田中は7月4日のオリックス戦(東京ドーム)で今季13度目の先発マウンドを踏んだが、結果は悲惨だった。初回から満塁弾を食らって5失点する投球で、4回を投げて3被弾。自己ワーストの9失点(自責点8)でマウンドを下りた。これで防御率はさらに悪化。規定投球回数に達している9投手ではワーストの4.60だ。7月4日終了時点で、8位のロッテ・小島和哉の3.57とは1点以上も差をつけられている。
田中はヤンキースから復帰3年目で、今季の年俸は大幅ダウンしたものの、4億7500万円と高額だ。これは、今季10勝を挙げれば日米通算200勝に到達することで、楽天が200勝フィーバーを目論んでいたためだが、調整法や登板間隔はほぼ田中の意向を汲んで起用してきた。
だが73試合を消化した時点で、わずか4勝。これから優勝あるいはクライマッス・シリーズ出場権獲得を目指し、他チームが激烈な戦いを挑んでくることは必至だ。チームとしても石井一久監督としても、田中にかまっている余裕などない。スポーツ紙デスクが現状を解説する。
「石井監督はこのままなら、途中休養もあるうる。そうならなくても、最下位争いを演じていることを考えれば、さすがに今季限りでしょう。石井監督が監督にしがみつくにはもはや、若手を育てて楽天の三木谷浩史社長にアピールするしかないところまで追い込まれている」
現在、楽天の先発陣は荘司康誠、岸孝之、則本昂大、辛島航、藤井聖、田中将大が中心となって回っている。だが、田中が現状のような投球しかできないようでは、先発ローテの一角として起用するわけにはいかなくなる。スポーツ紙遊軍記者は今後の起用法について、次のように話すのだ。
「本来なら2軍で調整させたいところですが、おそらく契約条件に2軍落ち拒否条項が含まれているはずです。となれば中継ぎ、それも敗戦処理的な役割で使われるのも時間の問題でしょう。さすがに田中も、先発剥奪には抵抗できない」
かつては野村克也監督に「マー君、神の子、不思議な子」と呼ばれたが、今や単なる盛りの過ぎたベテラン投手に成り下がったようだ。
(阿部勝彦)