開幕の2カ月前に代表監督に就任したにもかかわらず、W杯ロシア大会でチームを決勝トーナメントに導き、名将の評価を得た西野朗前監督。結果を残したが大会終了後に監督を続けなかったことは、サッカー界の謎の1つとされる。なぜ続投しなかったのか、西野氏が元日本代表・城彰二氏のユーチューブチャンネルで明らかにした。
2人はW杯ロシア大会についてトークを繰り広げると、話は大会後に及び、
「西野監督が協会ともめて、それで大会後に海外の監督になったと思っていた」という城氏が、「ロシアW杯後そのまま代表監督を続けるつもりはなかったんですか?」と単刀直入に質問。
すると西野氏は、
「17年に技術委員長をしていた自分がポイチ(森保一)を五輪代表の監督にした時、ハリルの後の代表監督をやってくれとお願いした。改めてロシアW杯の前の年の秋にも打診した」
と、ロシア大会後は森保氏が代表監督になることが既定路線であり、続投の考えはまったくなかったと告白。
ハリルホジッチ監督が解任され西野氏が監督に就いてからもそれは変わらず、「ロシア大会でポイチをアシスタントコーチに入れたのは、次のW杯への経験のため」と明らかにし、「うまくバトンタッチできた」と胸を張った。
西野氏は監督に就任した理由も明らかにしており、「当時、技術委員長を務めていたので、ハリルホジッチ監督と一心同体で自分も解任されてもおかしくなかった。だがチームに1番近い所にいた自分に、という話になった。最初は迷ったりふさわしくないと思ったりしたが、代表の流れを止めるわけにはいかない」
と引き受けたという。
この話によって、サッカーライターは西野氏が代表監督を引き受けた真相が見えたという。
「ハリルホジッチが解任された時、五輪代表の監督をしている森保さんを監督にしようという声が協会にありました。しかし、ロシア大会で惨敗しようものなら森保さんの監督としての未来を潰してしまう。できればロシアW杯後の区切りで監督に就任させてさせてあげたいということで、西野さんが引き受けたのでしょう。彼はとても慎重な性格なだけに当時は不思議に思っていましたが、森保さんのために火中の栗を拾ったということなのでしょう」
西野氏のおかげで森保監督はチームを無事に離陸させることに成功し、W杯カタール大会での躍進につながった。奇跡に西野氏もわずかながら関わっていたということになるだろう。