日本で最初に脚光を浴びたゴールキーパーは川口能活氏と言っても過言ではないだろう。名門・清水市立商業高校の正ゴールキーパーとして高校選手権でスーパーセーブを連発し、チームを優勝に導いた。Jリーグ・横浜マリノス(現・横浜F・マリノス)に加入した2年目にはスタメンを獲得。1998年W杯フランス大会では3戦すべてでピッチに立ち、その後の活躍は誰もが知るところだ。
そんな川口氏を96年アトランタ五輪代表に選出した前代表監督の西野朗氏が、「とても使えない」と酷評した。
衝撃の発言が飛び出したのは、アトランタ五輪代表のFW・城彰二氏のYouTubeチャンネル。「Jリーグ30年の歴史の中で記憶に残る選手」をテーマにトークし、城氏から「好きなタイプのGKはどんなGKですか? 西野さんが使いたいって思うGKは?」と聞かれると、西野氏は「能活のデビュー頃はとても使えないと思ったよね」と少々質問からズレた回答をしたのだ。
スポーツライターが語る。
「普通であれば答えは『安定して力が出せるタイプのGK』とか、『フィードを得意とする攻撃の起点となれるGK』といった答えをするものですが、西野氏の答えは予想外。それだけ川口氏の印象が強かったということでしょう」
なぜそれほどまでに「使えない」というイメージが残っているのか、西野氏は続けてこう語っている。
「ミスしても得点されてもハイボールを取りに出ていってしまう。そんなにならなくていいから落ち着けよ、という感じだった」
「身長が180センチだからなかなかクロスに出られない、だけど自分は出る。それで判断ミスしちゃう。動けるがゆえに気持ちが熱いがゆえにリスクが多かった」
それでもアトランタ五輪で起用した理由については、
「代表だからかもしれないけど神がかる。PKを何本も止めるとかあるんだよね。メンタル的にはクエスチョンをつけていたけど、トータルではよかった」
としていた西野氏。最終的には「使える」キーパーと判断したということだろう。
その川口氏は今年からジュビロ磐田のGKコーチに就任。自身の後継者になれるような「使える」選手を育ててくれるに違いない。