試合直前に勃発した薬物成分検出騒動を乗り越え、WBA世界スーパーフライ級のタイトルを獲得したボクシングの井岡一翔。6月24日にジョシュア・フランコ(アメリカ)に挑み、3-0の判定で新王者となったわけだが、そもそもフランコは前日計量で3キロもオーバーし、試合前に王座を剥奪されていた。
ただ、井岡には不利となる体重差を跳ねのけての勝利は、ドロー決着となった2022年12月31日の雪辱を果たしたことに。
戴冠からしばらく経った今、元WBA世界ライトフライ級王者の具志堅用高氏が、井岡の戦いぶりを歯に衣着せぬ物言いでビシビシと斬った。
自身のYouTubeチャンネル〈具志堅用高ネクストチャレンジ〉で6月28日に語ったのはまず、フランコの技術力。
「フランコはボクシングに対する運動神経、素質、技術はチャンピオンクラスですね。左(ジャブ)を見ただけでも、フランコが勝ってるんですよ。ただ、左のポイントを取るか取らないかですよね」
いきなり、ジャッジの採点に疑問を呈したのである。では井岡はどうだったのかといえば、
「ボディが効いてないんじゃないですか、フランコのガードがいいから。もっと徹底的に攻めればよかったと思ってる。フランコの方は(王座剥奪により)勝ってもチャンピオンじゃないから、ただリングに上がればいいって気持ちでやってますよ。でも、倒せないじゃないですか。それだけ井岡のパンチが通用しないのよ」
実に辛辣な評価を与えたのだった。
かつて具志堅氏は、自らが経営するジムに所属する比嘉大吾をWBC世界フライ級王者に育てたが、その後、「重大事件」が起きる。2018年4月15日、クリストファー・ロサレス(ニカラグア)戦では減量失敗による900グラムの体重超過で、王座を剥奪されたのだ。そして試合も9RTKOで敗北。日本人世界王者が体重超過で王座を剥奪されたのは、日本ボクシング史上初のことだった。比嘉は2020年に具志堅氏のジムを離れると、ほどなくしてジムも閉鎖。25年の歴史に幕を下ろしたのだった。
具志堅氏は過去の苦い経験から、減量に失敗した選手を倒しきれないとは…と井岡に言いたかったのだろうか。
(所ひで/ユーチューブライター)