新種牡馬のエースと言われるレイデオロに「黄色信号」が灯った。とにかく産駒が結果を出せないのだ。これまで8頭出走して1頭しか馬券に絡んでいない。しかも、すべて勝ち馬から1秒以上遅れてゴールしており、関係者は真っ青になっている。
「7月10日・11日には日本最大のサラブレッドセリ市『セレクトセール2023』があり、レイデオロ産駒は目玉として19頭上場される予定です。そのため、高値で買ってもらうためにも産駒には良い結果を出して欲しかったはず。それが21年のセレクトで1億9800万円の値段がついたショウナンハウルの3着が唯一馬券に絡んだもので、ほかは全く勝負になっていない。社台にとって大誤算だったでしょう」(競馬関係者)
レイデオロは大種牡馬・キングカメハメハが残した、現在のところ最後の牡馬芝GIウイナー。3代母が名牝にして名繁殖ウインドインハーヘアということもあって、大きな期待を背負って種牡馬入りした。種付け料が600万円に設定された初年度(2020年度)から多くの交配牝馬を集め、本年のルーキー最多の128頭の血統登録産駒を得たほどだ。
そのため、いま登場しているのはほんの一部で、結論を下すのはまだ早いとは言える。実際、今年好調のモーリスも産駒が初勝利するまで20連敗したし、ハーツクライ産駒やキタサンブラック産駒が初勝利したのも7月に入ってからだった。
とはいえ、実際に馬に乗った騎手からは、あまりいい声が聞かれず、
「体が硬い。ダート向きなのではないか」
「追って伸びず、切れがない」
「集中力に欠ける馬が多い」
などとよく言われている。
9日(日)中京5R・芝2000メートルの新馬戦には、大物の呼び声が高いラケダイモーン(牡、栗東・須貝尚介厩舎)が登場する。半兄に18年マイルチャンピオンシップを勝ったステルヴィオがいる良血馬で、22年のセレクトセールでは2億4200万円の高値がついた。馬主はあのディープインパクトの金子真人氏。最終追いは坂路で馬なり調整だったが、時間をかけて乗り込んできたので仕上がりは万全だ。
この馬で結果を出せないようだと、セレクトの取引も盛り上がりに欠けるものになってしまうだろう。
(競馬ライター・兜志郎)