蔵王山は宮城県と山形県にまたがり、温泉やスキー場を抱えるレジャースポット。国定公園もあり火口湖の「御釜」は有名である。観光客も年間約80万人が訪れる人気の場所だ。
そんな蔵王山に何が起きているのか。
「10年9月から観測を開始して、以後2年間は8回しか記録していない火山性地震が13年に212回、今年も154回を数えています。8月7日には1日に44回も観測されたのです。すでに火山性微動も確認されています」(気象庁担当記者)
御嶽山は噴火前の9月10日に52回、11日に85回の火山性地震を観測している。蔵王山はその数字に勝るとも劣らない現状なのだ。
また、1940年の小規模噴火以降、蔵王山は噴火をしていない。さらに、蔵王山は古文書などから773年の噴火以降の記録が残っているが、予測しにくい水蒸気噴火が多いことで知られている。御嶽山の噴火と不気味に符合するのだ。
「00年に福島の磐梯山で1日に400回の火山性地震が観測されたことがありましたが、結果的には噴火はなかった。ですから、蔵王山がいつ噴火するかはわかりませんが、確実に火山活動の活発化を示す異常な数値であり、注意は必要です」(島村氏)
現在、この蔵王山も含め東北地方には24時間監視を続けている火山が10ある。青森県にある八甲田山は監視対象でもないのに、活発化が発表された。
「東日本大震災以降、十和田も含めた周辺地域では地震が頻発しています。特に、八甲田山では表面的な噴火活動はないものの、地殻変動が確認されており、山体の膨脹が見られるなど気象台があらためて監視を強めているところです」(気象庁担当記者)
八甲田山は1万年以内に8回の噴火が記録されているが、そのうち7回が水蒸気噴火である。また、10年には火山ガスが噴気し、ガスを吸った中学生が死亡している。十和田八幡平国立公園を擁し、年間約25万人の観光客が訪れる八甲田山。多くは紅葉シーズンに観光客は集中している。噴火が起きないことを祈るばかりなのだ。
秋田駒ヶ岳(秋田と岩手県境)ではマグマに熱せられた水の影響を受け、噴気活動や地表の温度が上昇している個所が増えているという。また吾妻山(山形と福島の県境)では、この6年間にわたって高温で有毒な火山ガスの噴気が続いている。いつ噴火してもおかしくはないのだ。