夏の甲子園出場をめぐる全国高校野球選手権の地方大会で、誤審疑惑が続出。悲哀や歓喜、怒り、呆れ、混乱が沸き上がった。神奈川大会の決勝、横浜と慶応の試合は、その典型だろう。
横浜の2点リードで迎えた9回無死一塁からセカンドゴロで併殺かと思われたプレーが、オールセーフに。横浜の遊撃手が2塁ベースを踏まず1塁へ投げていたと、審判が判断したからだ。映像で確認すると、踏んでいるように見えるのだが…。
直後に慶応が3ランを放ち、劇的な逆転勝利を収め、横浜はあと少しのところで甲子園出場を逃した。この一連のプレーに、横浜の村田浩明監督は「こっちから見たらアウト。納得いかない」と悔し涙を流し、現地観戦した横浜OBのタレント・上地雄輔もSNSで抗議。審判への大バッシングがうず巻く事態へと発展したのである。スポーツライターが事情を語る。
「無報酬の高校野球審判はなり手が少ないだけに、負担を減らしてあげることが大事です。審判は野球経験のある社会人が連盟に登録して能力を磨いていき、休日も関係なく1年中、務めます。収入源の本業を休みながら審判に携わるのが一般的で、公務員や自営業者が比較的多いですよ。ボランティアに頼らず、地方大会の決勝や準決勝、準々決勝クラスの大舞台では報酬を与え、体力と動体視力に優れた手練の若い審判員が責任を持って行うべきです」
千葉大会の準々決勝、拓大紅陵×専大松戸の試合でも、大混乱が起きた。大事な0-1の延長11回に、拓大紅陵の野手と専大松戸の走者が接触。この微妙なシーンで、守備妨害が否かが協議される。15分を要し、大事な試合は最終盤で中断された。選手が困惑して集中力を切らす結果となったのだ。
「地方大会でも準々決勝以上はローカル局が中継を担っているため、映像によるリプレー検証の導入に支障はありません。高野連からいくらか地方局に映像提供料を払えば済む話です。プロの審判でも、間違うことはある。問題のシーンをすぐに動画判定して、正確なジャッジに基づいてスムーズに試合を進行してもらいたいです」(前出・スポーツライター)
高校球児のためにも、審判員の整備とリプレー検証を早急に進めてはどうか。