クローザーは鋼のメンタルを持っている。
バンテリンドームナゴヤで行われた中日×巨人戦(4月2日)で最後のマウンドに上がったのは、中日から移籍したライデル・マルティネスだった。マルティネス登板がアナウンスされるのと同時に、ライトスタンドの中日ファンからは、ブーイングが起きた。昨年までは中日の絶対的守護神。古巣との対決はキナ臭い雰囲気での幕開けとなった。
四球で走者こそ出したが、2三振を奪ってゲームセット。天を指差すいつものポーズを決めて、淡々とベンチへ帰って行った。
試合後、マルティネスは右翼スタンドからのブーイングについて聞かれると、
「アレはすごい歓声だったね。自分のピッチングにフォーカスしたけれどね」
と笑って返している。ところが名古屋メディア関係者は、
「マルティネスは来日9年目ですよ。日本語は分かりますし、古巣のファンのことを思って、トボけたんだと思います」
守護神のメンタルの強さを物語るエピソードは、これだけではなかった。この中日との3連戦に合わせるように、インタビュー記事が公開されたのだ。母国キューバのメディア「Pelota Cuba」が掲載したもので、ドジャース、カブスとのプレシーズンゲーム後に取材を受けていた。
マルティネスはプレシーズンゲームを終えた感想を述べた後、「将来」について語っている。
「高いレベルで活躍をし、世界中で知られている選手たちのプレーを見て楽しむことができるのは、壮大なこと。もちろん、自分も常に大きなことを考えているし、いつかはあのレベルで自分を証明したいとも思う。それはプロのレベルに達した全ての選手の夢でしょ」
将来のメジャーリーグ挑戦とも捉えられかねない内容だ。現行ルールでは、キューバ政府からNPBに派遣された彼は、自身の意思でメジャーリーグに移籍することができない。
「マルティネスのリップサービスかもしれません。ただ、キューバからNPBに派遣される選手との交渉手段が、以前は政府担当者でしたが、昨年オフから選手本人とNPB球団の直接交渉に変更されています」(NPB関係者)
先のブーイングの話に戻るが、マルティネスは自らの意思で中日退団を選択したのであり、古巣ファンからよく思われないことは分かっていた。
また、交渉窓口が変わったことで、マルティネスは正規ルートでのMLB挑戦の道が開かれることを「予感」しているのだろう。巨人関係者まで疑心暗鬼にさせてしまうメンタルは、やはりタダモノではない。
(飯山満/スポーツライター)