これは「鳥塚マジック」なのか。鳥塚亮氏が昨年、社長に就いた大井川鐵道が、鉄道ファンを驚かせる発表を行った。
同社が所有する「E31形電気機関車」(写真)を、青とクリーム色の「国鉄色」に変更し、臨時列車やイベントなどで活用していくというのだ。当面の間はSL列車の補機として活用する予定だ。
青とクリーム色の国鉄色は、東海道本線を走行するブルートレインの牽引機が採用していた塗色で、鉄道ファンは大喜びしている。
この塗装変更は予想もしなかったものだと、鉄道ジャーナリストは言うのだ。
「E31形は西武鉄道が所有していた電気機関車なので、国鉄色だったことはありません。ずっとクリーム色に朱色の帯という塗装でした。そんな電気機関車を国鉄色にするなんて、鉄道好きの想像を越えるアイデアですよ」
鳥塚社長は「いすみ鉄道」と「えちごトキめき鉄道」で、古い気動車を導入して集客につなげた実績を持つ。大井川鐵道はよそから車両を持ってくるのではなく、もともとあるものを使って観光客を呼ぼうとしているようだ。
当分はSL列車の補機として使うとのことだが、いずれは臨時列車の先頭に立つこともあるだろう。まずは来春に…と、先の鉄道ジャーナリストは期待を込める。
「大井川鐵道は毎春、寝台特急『さくら』を模したヘッドマークをSL列車に装着して運行しています。蒸気機関車だけでなく(写真のように)E31形がつけたこともあります。国鉄色になったE31形が、さくらをつけたら興奮モノですね。大井川鐵道は『国鉄14系客車』を持っていますので、さくらをつけた国鉄色のE31形がこれを牽引すれば激アツ。寝台特急『さくら』は国鉄14系客車で運行されていましたから、その再現になります」
鳥塚社長なら、鉄道ファンの期待を裏切ることはないだろう。
(海野久泰)