コロナ禍でも快進撃を続け、今年4月には300店舗を達成し業界トップの「牛角」を射程圏内に捉えた「焼肉きんぐ」。郊外に多くの店を構える食べ放題の焼肉チェーンはファミリー層から圧倒的な支持を得ているというが、その人気の秘密はどこにあるのか。
経済ジャーナリストが語る。
「焼肉きんぐを運営する物語コーポレーションが8月10日に発表した23年6月期の連結業績(22年7月~23年6月)では、好調だった前期からさらに25.9%増となる922億円の売上高を記録しています。同社はラーメンチェーン『丸源ラーメン』なども展開していますが、売上高のうちの半数以上となる488億円は焼肉部門といいますから、焼肉きんぐの好調ぶりが窺えます」
同チェーンは2007年に1号店をオープンさせ、19年6月期末時点で223店舗まで店舗を増やしているが、23年6月期末時点では305店舗と、コロナ禍以降に急成長しているのが分かる。なお、業界首位の「牛角」は現時点で565店舗と焼肉きんぐよりも260店舗も多いのだが、実質、すでに売上高では焼肉きんぐが牛角を上回っていると言えるのだ。
「人気の理由は、ありそうで無かった『焼肉食べ放題の専門店』という点が第一に挙げられますが、特にコロナ禍に成長した理由としてはロードサイド店であることと、座ったまま注文できることが大きかったと思います。同じく焼肉の食べ放題の『すたみな太郎』はビュッフェスタイルだったため、衛生面への懸念もあってコロナ禍に大きな打撃を受けました。肉きんぐはテーブルオーダー制だったことから安心感を得られていただけでなく、高齢者や小さな子どものいる親子連れも利用しやすかったことから、ファミリー層の利用が急激に広がっていったのです。また家族4人で利用しても1万円以下になるような価格設定にされ、原価率は4割と他の飲食店より高めに設定していることから満足度が非常に高く、リピーターが多くなっていると言えます」(フードジャーナリスト)
店舗数でも牛角を抜き去り、完全なる業界No.1となる日も近いか。
(小林洋三)