お盆休みの関西・中国地方を直撃した台風7号。JR西日本や近畿日本鉄道は「計画運休」を発表し、帰省や観光の予定の変更を余儀なくされた人が続出した。
そんな折、8月15日に駅で足止めを食らう人達の街頭インタビューを見ていて、違和感を覚えた。テレビ朝日の昼と夕のニュースに「福山雅治の武道館ライブに行ったら帰れなくなった」と話す中年女性が登場したのだ。
ニュースの視聴者からすれば、台風7号が接近する中、福山がライブを強行したかのように勘違いする。しかも街頭インタビューが放映されたのは、まさに8月15日の終戦記念日。日本武道館では天皇陛下や岸田文雄総理、最高齢104歳の戦没者遺族らが参列する、終戦記念日の式典が開催されていた。
福山ファンにとっては、福山の実兄が自衛官であることは公然の秘密。親族に自衛官がいる福山が、終戦記念日にライブをするとは考えられない。事実、福山の公式サイトによれば、武道館ライブが開催されたのは、8月10日から13日。そこでチケット転売行為が確認され、転売したファンクラブ会員を永久退会処分にするトラブルがあったものの、ライブ自体は予定通り終了したという。台風が近づく中で、福山がライブを強行したわけでもないし、観客が計画運休やUターンラッシュに巻き込まれることなく帰れるスケジュールを組んでいた。テレビ局報道関係者が嘆く。
「台風接近時の新宿駅や東京駅でのロケはテレビ中継の定番ですが、最近はリスクだらけで台風中継は難しくなっている。日本語を話しているのに会話も常識も通じない、ヤバイ人が増えたからです。今回の台風7号でも、JR東海は前日に『東海道新幹線は名古屋・岡山間で終日運転取りやめ』を発表していましたが、終日運転取りやめの意味がわからない乗客が駅に押しかけました。駅の外は台風の接近で暴風雨状態。移動するのも危険なのに『終日運転取りやめって、今日の何時から新幹線は動くんだ』などと駅員やテレビクルーを怒鳴りつける乗客の姿は、とても全国放送できません」
同日、静岡市の安倍川で竜巻が発生した。安倍川は新幹線も通る一級河川だ。新幹線の運休、減便は乗客の安全を守るためなのに、自分に都合の悪い事実をねじ曲げる日本人だらけになってしまった。
(那須優子)