アトランタ五輪で強豪ブラジルを1-0で破った「マイアミの奇跡」で、ゴールを決めたのが誰あったのか、覚えていない人も多いことだろう。つい前園真聖や城彰二、中田英寿と思いがちだが、こじ開けたのは伊東輝悦(MF=アスルクラロ沼津所属)だった。27年経った今、その瞬間を伊東が前園真聖氏のYouTubeチャンネルで明らかにしている。
配信で伊東と前園氏、同じく元日本代表の白井博幸氏の3人で初戦のブラジル戦を振り返り、72分に日本のゴールが生まれた瞬間を、まずは前園が説明した。
「(前園が)路木(龍次=MF)にボールを出した。この時、輝(=伊東)は後ろにいた。路木が前線へロングキックを蹴ると、そこで輝が走った」
続けて伊東は、
「ゾノ(=前園)にパスを渡したのは俺。その時に前方を見たら行けるんじゃねえかと思ったので走ったら、あんなことになった。本当は路木さんからダイレクトでボールをもらえるかなと思った。(相手選手と城彰二が重なり合って)どうなってんだと思った。ボールに触ろうかどうか迷って触った。彰二が触っていたらゴールを奪うことになるから悩んだ」
と心境を告白。結局は「最後の最後で触っちゃえと」と伊東が決めたわけだが、意外にも仲間のゴールを奪ってしまうことを気にしていたという。
またこの試合の後には、ボランチの伊東がなぜ最前線にいたのか疑問視する声が出ていたのだが、「行ける」という伊東個人の判断だったというから驚きだ。
奇跡と個々の判断力で生まれたゴール。これからも語り継がれていくことだろう。