ところで、球児、指導者を含め、12球団に対する「入りたい」「入りたくない」の評価は想像以上にシビアなものがある。今季ペナントではぶっちぎりで首位を走る阪神も、高校サイドからは低評価だ。
「阪神は高卒野手の伸び悩みから岡田彰布監督(65)は麟太郎の指名に動く考えのようですが、藤浪晋太郎(29)の育成失敗も尾を引いて不人気ですね。藤浪は入団から3年連続で2桁勝利を上げながら、ガタガタと成績を落としていった。あの球団の宿命ですが、タニマチが多く、2軍にまで入り込んで来て誘惑だらけ。コロナ禍ではパーティーでクラスターを発生させて大問題にもなりました。球団はその事態を重くみて、この3年間はコロナ禍を理由に接触を断れたのでよかったですが、今季の快進撃でまたフィーバーとなり、これから入団する選手は誘いを断るのに大変でしょう」(阪神担当記者)
同様に、2軍がナゴヤ球場を本拠地として繁華街に近い中日も、高卒選手育成には不向きと見られている。
「とにかく立浪和義監督(54)が暗すぎますね(笑)。あれだけ期待されて能力も高いはずの根尾昂選手(23)がなかなか活躍できないのは、球団に大きな問題があるのでは‥‥。少なくとも自分の周りでは『行きたくない球団のナンバー1』ですね」(今大会に出場した西日本の学校の3年野手)
逆に近年、高卒育成面で結果を出し続けているオリックスへの評価は高い。
「17年に合宿所が舞洲に移転してから球場施設がしっかりしているばかりか、24時間打ち込める施設も広くなった。最寄りのコンビニに行くにも歩いて10分かかる陸の孤島で、阪神とは真逆の誘惑がない野球漬けですからね」(スポーツ紙デスク)
育成といえば、4軍まであるソフトバンクが思い浮かぶが、実情はどうも違うらしい。球界OBによれば、
「育成枠で数多くの選手を獲得し、環境や設備も整っています。ところが、甲斐や千賀、周東ら成功例ばかりが話題になりますが、それ以上に失敗例が多いのです。見極めができている指導者は『いばらの道になってしまうだろう』とソフト入団を危惧しています」
さて、かつては猫も杓子も巨人入団を願った時代もあったが、今大会に出場した西日本の学校の引率者はこう吐露した。
「正直に言わせてもらえば、原辰徳監督(65)のワンマン体制が気になる。来年も指揮を執るのかにもよるが、現場も編成も全権を握っていると聞くだけに、そんな〝独裁球団〟に教え子を送り出し、きちんと育成してもらえるのか不安が募る。ドラフト3位までの上位指名ならまだしも、4位以下なら入団後もきちんと見定めてくれるのかが、とても心配です」
ドラフト会議は10月26日。2カ月後、満面の笑みを浮かべる球児は果たして誰だろうか─。