「マンネリ」「感動の押し売り」と批判されるようになって久しい「24時間テレビ」(日本テレビ系)だが、今年もなんだかんだいって見てしまった。今回のテーマは「明日のために、今日つながろう」。スタート開始直前まで明かされなかったチャリティーランナーが誰なのかに興味はあったが、ヒロミだとわかり、トーンダウン。「空白の10年」から復帰後、ずっと続いてるヒロミの「いい人キャンペーン」の一環でしかない。
2日目の8月27日もダラダラ見ていると、「チャリティー笑点」のコーナーが始まった。すると春風亭昇太が「最後に木久扇さんから重要なお知らせがあります」と言うではないか。「お、全国ラーメン党の新店舗がオープンするのか。それとも『いやんばか~ん…2023』をサブスク配信するのか」と座り直してワクワクしながら見た。
引っ張るだけ引っ張って、いざその時になると、木久扇はカメラに向かって言った。
「私、林家木久扇は来年の3月をもって『笑点』を卒業したいと思います。どういうことかというと、芸というものは次の世代にバトンタッチしなくちゃいけません。私の『座布団の芸』も、新しい人にバトンタッチいたします」
「座布団の芸」というのはむしろ山田隆夫のほうじゃないのか、とツッコミを入れたくなったが、まあ予想通りの「お知らせ」ではあった。当の本人は、
「ちょうど今日の『24時間テレビ』のテーマが『明日のために、今日つなごう』と、こういうテーマでありましたんで、私は背中を押されたわけであります」
と、その理由を語った。
1966年にスタートした「笑点」に、木久扇は1969年からメンバーとして参加しており、現在、最古参・最年長の大喜利メンバーだ。ここ最近で「笑点」を去った大喜利メンバーといえば、林家こん平、桂歌丸、三遊亭円楽(6代目)、林家三平(2代目)あたりが思い浮かぶ。いずれも高齢や病が原因で、唯一の例外は林家三平。年齢も若く、健康面も問題なかっただろうが、「おもしろくない」という、芸人としては最も致命的な病に侵されていたようで…。
現在85歳の木久扇。くれぐれも体調には気を付けて、「卒業を待たずして…」などということがないことを祈りたい。
それにしても、木久扇のこの勇退の弁。昨今、老害ぶりが激しい関口宏や田原総一朗にも聞かせたいものだ。
(堀江南)