「江川さんと松坂さんは、どっちがスゴいと思いますか」
「こんなに差があるじゃないですか」
「昭和の怪物」江川卓と、「平成の怪物」松坂大輔の高校時代の実力を比較し、歴然とした差があると言い放ったのは、元横浜高校硬式野球部で部長を務めるなど、高校球児の育成に尽力した小倉清一郎氏だ。野球解説者・上原浩治氏のYouTubeチャンネル〈上原浩治の雑談魂〉に出演すると、冒頭のごとく、ハッキリと断言したのである。
小倉氏は三菱自動車川崎、河合楽器時代で社会人野球に打ち込み、現役引退後は東海大学第一高(現・東海大学附属静岡翔洋高)の指導者となったのが、1973年。横浜高校とは1977年からの縁だった。以降、愛甲猛、松坂大輔、涌井秀章、鈴木尚典、多村仁志、筒香嘉智、近藤健介、万波中正など、ゆうに60人を超える逸材をプロ野球界に送り出してきた名伯楽だ。
その小倉氏が絶賛するのは、教え子の松坂ではなく、
「江川ですよ。球の質が違いますよ」
ホップするように伸びる江川のストレートを絶賛である。
江川は作新学院高時代、公式戦でノーヒットノーラン9回、完全試合2回を記録しているが、一方の松坂について小倉氏は、
「1安打の試合は1回もないですよ。4安打、3安打の完封は多いけど」
とはいえ、松坂は大舞台で輝かしい記録を残す。それは高校3年の夏の甲子園、決勝戦で京都成章高を相手にノーヒットノーランを達成したのだ。決勝戦でのノーヒットノーランは、59年ぶり2人目の快挙だった。
甲子園で優勝という華々しい功績を残した松坂に対し、江川の甲子園の通算成績は、6試合で4勝2敗。1試合平均15.3という驚異的な三振を奪っているものの、高校3年、春のセンバツで記録したベスト4が最高だ。
それでも小倉氏は、江川のストレートに軍配を上げたのだった。
(所ひで/ユーチューブライター)