「環境への影響は、ほぼない」─福島第一原発の処理水が貯水タンクから海洋放出されるや中国の怒りが大爆発! 東京都庁だけでも1週間で3万4000件ものクレーム電話が殺到し、さらには列島中に〝電凸攻撃〟が伝播した。その背後には反日戦術を弄して、一強体制を貫く習近平の〝悪あがき〟が隠されていた─。
「クセのあるイントネーションで『モシモシ』と言った後、ものすごい勢いで中国の若いオンナがまくしたててきたんだ。会話の中身なんかまったくわからなかったけど、一通り言いたい放題をぶちまけた後、捨て台詞みたいに『バカ! アナタタチハバカ!』と叫んで、電話は切れたんだよ」
東京のとある繁華街で営業するラーメン店の店主は、突如降りかかった最初の「嫌がらせ電話」の様子をこう証言する。着信したのは8月25日。東京電力が処理水を海洋放出した翌日のことだった。
「報道されているみたいなスマホの音声読み上げ機能のメッセージも来ましたね。『汚染水を飲みましたか』『核水を流すな』みたいな感じで。電話は2、3日で20件ぐらいあったね。いちいち対応したら仕事にならないんで、途中からすぐ切るようにしてたよ」(ラーメン店店主)
同店は福島名物・喜多方ラーメンの店舗だが、福島県にゆかりのあるなしにかかわらず、もはや絨毯爆撃的に日本全国でこうした〝電凸攻撃〟が頻発している。現代中国に詳しい拓殖大学海外事情研究所の富坂聰教授によれば、
「処理水放出について、一般の中国人がかなり怒っていることは事実です。彼らにすれば、あふれた下水を簡易処理だけしてそのまま共用スペースに流されているように感じているのでしょう。その上で、日本にまで電話してくるような人は、言ってしまえば社会に不満がある、人生がうまくいっていない人たちが中心になっています」
折しも、現在の中国はゼロコロナ政策転換後は経済回復がままならず、若者の失業率も高いまま。自身の境遇に対する不満が、そのまま日本を攻撃する活動の原動力になっているというのだ。
「習近平国家主席(70)と当局としては、『怒れる人民以上に自分たちが怒っている』という姿勢を見せなければいけない。さもないと、不満の矛先が国内に向きかねないと理解しているからです」(富坂氏)
中国人の怒りの源泉となっている処理水の安全性については、「人及び環境に対する放射線影響は無視できるほど」と国際原子力機関(IAEA)のお墨付きが出されている。が、8月31日、野村哲郎農林水産大臣(79)が処理水を「汚染水」と発言したことで火に油を注ぐ結果となっているのだ。