北海道の木古内駅(木古内町)と五稜郭駅(函館市)を結ぶ第三セクター「道南いさりび鉄道」に廃止案が飛び出した。
道と沿線の市町で作る地域協議会が経営計画をまとめ、2025年度までは運行を続けるが、26年度以降は未定で今年度中に判断すると発表。同路線は昨年度2億1100万円の赤字を計上しており、道からの補助金で穴埋めしている。
道南いさりび鉄道とはどんな鉄道会社なのか、鉄道ライターが解説する。
「元はJR北海道の江差線でしたが、16年に北海道新幹線の新青森駅と新函館北斗駅間が開業するのに合わせJR北海道から分離され、第三セクターの『道南いさりび鉄道』に移管されました。海沿いを走り、車窓から津軽海峡と函館山が見え、観光客に人気です。キハ40を改装した観光列車『ながまれ海峡号』を運行するなど、観光にも力を入れていたんですが…」
北海道の路線は乗客の減少が問題になっており、江差線も例外ではなかった。14年度の1日あたりの平均輸送量は4377人で、100円の営業収入を得るのに使われる営業費用は248円。それを考えれば、道南いさりび鉄道になって経営状態がよくなっているとは考えにくい。26年以降、廃止が現実になってもおかしくないのだ。
もし道南いさりび鉄道が廃止になれば、北海道全体に影響を与える可能性もある。鉄道ライターによると、
「道南いさりび鉄道の線路は貨物列車が入っており、ここから青函トンネルを通って本州へ多くの荷物を運んでいます。荷はじゃがいもやにんじんなど、北海道で採れる農作物が中心。もし廃線になって貨物列車が通れなくなれば、北海道の経済に大打撃を与えることになるでしょう。といっても道南いさりび鉄道が廃止になった場合、おそらくこの区間は貨物専用ということに落ち着くとは思うのですが、保守はどこがするのか、その費用はどうするのか、解決しなければならないことは山積みです」
北海道の命運を握る道南いさりび鉄道。26年度以降どうなるのか、今は見守るしかない。
(海野久泰)