秋GIシリーズもひと休み。今週は東京で「アルゼンチン共和国杯」、京都で「みやこS」が行われる。来週から暮れの有馬記念まで7週連続GI開催となるだけに、ここで軍資金をたっぷりとため込んでおきたいところだ。
今週は続いているGI戦の谷間、GIIのハンデ戦、伝統のアルゼンチン共和国杯がメイン。荒れるイメージが強いが、馬単導入後の過去12年、その馬単で万馬券になったのは5回(馬連では2回)。そう大きく荒れることはなく、中穴レースと言っていいか。
そして天高く馬肥ゆるの候、秋を迎えて充実期に入った4歳馬が圧倒的に強いのが特徴だ。続いて5歳、6歳が多く連対を果たす傾向があるが、3歳馬が挑戦してきた時は要注意だ(ただし今回はいない)。
一昔前と違って比較的重いハンデを背負っている馬が、よく連対している。ハンデよりも能力を重視すべき、ということだろう。また、挑戦する頭数がきわめて少ないこともあるが、過去12年で牝馬の連対は1頭もない。
前述したデータをもとに勝ち馬をあぶり出し、浮かび上がる何頭かの候補の中でイチオシしたいのは、マイネルジェイドだ。
まだ準オープン(1600万条件)の身で、前走のオクトーバーSは10頭立ての9着と凡走。であれば、評価は低く、人気はまったくと言っていいほどあるまい。しかし、軽く見てはいけない。
春、日経賞(14着)、メトロポリタンS(11着)を使ったあと、体調を崩して放牧休養。4カ月半ぶりの丹頂Sは、見せ場を作って差のない4着(11番人気)。続く2走目が前述のオクトーバーSだったわけだが、仕上がり途上の丹頂Sで好走した、その反動があったのだろう。パドックでは落ち着きがなかったし、レースでは終始後方のまま。リズムを欠く走りだった。前走は参考外にしていいのではないだろうか。
それでも勝ち馬とはコンマ8秒差。悲観することはない。この中間はここに照準を合わせ、しっかり乗り込んできている。休み明け後2度使われたことで、気配、稽古の動きともに大きく良化している。1週前の追い切りも軽快かつリズミカルだった。であるなら、巻き返し可能。あらためて注目すべきである。
以前は体質がひ弱で、未勝利を脱出するのに13戦も要したが、軌道に乗ったその未勝利勝ちからオープン入りするまでの成績は【1】【2】【1】【1】【1】着。まさに快進撃だったのだ。能力が高いからこそできた芸当。500万─1000万─準オープンと3連勝したのだから、さすがに厳しい競馬が続いたことでいっぺんに体調を崩してしまったのは、やむをえないところだった。
しかし今は本来の姿を取り戻し、ハンデは背負わされても54キロまで。近走の悪い成績から53キロの可能性もある。ならば大いに食指が動くというものだ。
東京コースに良績はないが、調子が悪い際に走っていたまで。息の長い、しっかりした末脚を武器にしている馬。何の不安もない。
大一番に強いステイゴールド産駒で、快速で鳴らしたメイワキミコ(スプリンターズS連覇)を5代母に持つ良血。晴雨にかかわらず大きく狙ってみたい。
穴中の穴は、リキサンステルスだ。マイネルジェイドと同じく充実の4歳馬。前走を勝ち上がってオープン入りを果たしたが、芝は初めて。これでは敬遠したくもなるだろうが、脚抜きのよい軽いダートで好走していること。血統(母系)から踏んで、心身ともにたくましく成長した今なら、かえって芝のほうが持てる力を発揮しやすいはず。母は芝で活躍したナリタセンチュリー(京都大賞典)の全妹。軽視は禁物だ。
◆アサヒ芸能11/4発売(11/13号)より