今週はクラシック最後の1冠「菊花賞」が京都で行われる。皐月賞馬イスラボニータが天皇賞・秋に向かうことになり、ダービー馬ワンアンドオンリーの1強ムード。だが、水戸&片山両氏は“死角あり”の判断を下した。
皐月賞、ダービーに続く、3冠最終決戦の菊花賞は、淀を舞台に長丁場3000メートルの距離で争われる。
目下1番人気馬が3連勝で、4年連続で連対を果たしている。しかし馬単導入後の過去12年を見ると、半数の6回が、その馬単で万馬券となっている。どの馬も初めて経験する3000メートル戦は、やはり不確定要素が多く、一筋縄ではいかないということだろう。
そこで今年の顔ぶれを見てみようか。ダービー馬ワンアンドオンリーが神戸新聞杯を制して健在ぶりを誇示したし、皐月賞2着馬トゥザワールドがセントライト記念で皐月賞勝ち、ダービー2着のイスラボニータ(天皇賞にホコ先を向け、菊花賞は出走しない)の2着に頑張り、これまた快調に秋のスタートを切った。
おおむね既成勢力である人気どころは順調のようだから、今年も堅く収まりそうな気配ではある。
が、実際のところどうだろう。神戸新聞杯のワンアンドオンリーは大接戦の末のアタマ差辛勝だった。競り合ったのは春の時点では一枚も二枚も格下だった相手。しかも体重はダービー時よりも4キロ減っていた。春に比べ、たくましく成長していてもよかったのだが、それが感じられなかったのだ。
では、あわやの2着だったサウンズオブアースが地力強化したからなのか。この見方には同調しかねる。というのも、この馬もダービー以来、4カ月ぶりの実戦だったが、体重6キロ減。京都新聞杯2着時に比べると10キロも減っていたのだ。
では、トゥザワールドかというと、能力は認めるものの、血統(母トゥザヴィクトリーは、オークス2着、エリザベス女王杯勝ち)に反して長丁場はどうなのか、という不安が拭い切れないのだ。
そこであらためて東西両トライアルを振り返ってみる。ともに意外にも着差に大きな開きがない混戦のうちに終わった。距離が一気に延びることを思えば、そのトライアルで勝ち馬から1秒以内にふんばった馬は、それなりにチャンスがあると見ていいのではないか。穴党が期待したいのは、そうした馬たちだ。
イチオシしたいのは、ショウナンラグーンだ。500万条件馬の身で青葉賞を制したのは記憶に新しいところ。本番のダービーでは、さすがに相手が一枚上手で、4角最後方から追い込んで見せたものの、勝ったワンアンドオンリーにはコンマ5秒及ばなかった。が、前々で競馬をした馬が勝ち負けしたことを思えば、上々の内容と評価していいのではないか。
そのダービー以来となったセントライト記念は8着に敗れたが、余裕残しの状態、体つきで、勝ったイスラボニータにコンマ7秒差なら巻き返しがあっていい。実際、馬体が引き締まって実にいい雰囲気。1週前の追い切りも軽快だった。
周知のように女傑メジロドーベル(オークス、秋華賞、エ女王杯)を祖母に持つ良血。距離延長は望むところである。走りっぷりから多少の道悪は問題ないと判断できるし、晴雨にかかわらず中心視したい。
逆転候補の1番にあげたいのは、トーホウジャッカルだ。この馬も条件馬の身ながら神戸新聞杯であわやの3着(アタマ差)。よく言われるところの“夏の上がり馬”で、充実ぶりは目をみはるばかり。使いづめで馬体がやや細化気味なのが気になるところだが、スペシャルウィーク産駒で、トーホウアマポーラ(CBC賞)の弟。状態に問題がないようなら勝機は十分だ。
穴馬としてあげたいのは、マイネルフロストだ。春に見られた折り合い面での不安が解消しつつあり、一度使われてガス抜きもできた。3000メートルはどうかと疑問視する向きも少なくないが、血統的には大丈夫。春と違ってたくましくなっており、大駆けがあっていい。
◆アサヒ芸能10/21発売(10/30号)より