ガソリン価格の高騰が止まらない。
政府は9月末までとされていた石油元売り各社に対する補助金の支給を、年末まで延長する方針を表明し、10月中にはレギュラーガソリン1リットルあたりの店頭価格を170円台に抑え込むとしている。
とはいえ減産、円安、ウクライナ侵攻など、楽観的な要素は皆無に近く、近い将来、リッターあたり200円の大台を突破する、との衝撃的な観測も流れ始めている。
ところが、である。日本の場合、変転する国際情勢とはまた別に、高騰するガソリン価格をさらに押し上げてきた決定的な理由が存在するのだ。諸悪の根源はズバリ、屋上屋を重ねるがごとき「3重課税」にある。
日本国内のガソリン価格は、「ガソリン自体の価格」に「本来のガソリン税」が上乗せされているばかりか、「当分の間税」と呼ばれる追加のガソリン税、さらにはこれらの総額に10%の「消費税」までが加算されている。例えばリッター185.6円のケースで見ると、その内訳は以下のようになっている。
●ガソリン自体の価格 114.9円
●本来のガソリン税 28.7円
●当分の間税 25.1円
●消費税 16.9円
日本の税制とその舞台裏に詳しい経済アナリストが憤慨する。
「あるべき税の仕組みから言えば、『ガソリン自体の価格』に『本来のガソリン税』を課して終わりのはずです。ところが、政府はこれに『当分の間税』と『消費税』を上乗せしている。リッター185.6円の店頭価格で言えば、42円も多く払わされていることになるのです。2重課税を上回る3重課税など、どう考えてもムチャクチャな話です」
しかも「当分の間税」は道路財源として1974年に創設された臨時税であるにもかかわらず、50年近く経った現在もなお、一般財源として課税され続けている。
「ガソリン価格が高騰しても、政府は価格に対する『消費税』の廃止に踏み切らないばかりか、『当分の間税』を免除するトリガー条項すら発動しようとしない。まさに、わずかな補助で国民の目を欺く、政府の大陰謀です」(前出・経済アナリスト)
家計を圧迫し、運輸業者の経営を苦しめる悪政に今こそ国民は怒りの声を上げ、NOを突き付けなければならない。
(石森巌)