サザンオールスターズの桑田佳祐(58)が、紫綬褒章をアッパレ受章! サザンといえば聴く者を勇気づけ感動させる名曲の印象も強いが、一方で「技あり」なエロソングの数々で歌謡界を再三どよめかせてきた。その功績をたたえ、「桃色褒章」を進呈する!
「下劣極まりない音楽をやり続けてきた私がこのような高貴な章をいただけるとするならば‥‥」
受章に際し、桑田自身がこう卑下したのは皮肉ではない。1978年のデビュー以来、「いとしのエリー」「涙のキッス」「TSUNAMI」などOLも泣き濡れる名曲バラードは数多いが、赤面下半身ソングこそサザンの真骨頂なのだ。
実際、カラオケ、忘年会の一発芸で脈々と愛唱されてきたことがその証。デビュー曲「勝手にシンドバッド」以降、桑田が書きためた下ネタソングをドバッと放出してみたが、キラ星のごとくギラギラサーモンピンクに輝くフレーズを眺めれば桃色受勲も納得いただけるハズである。
今回の受章を喜んでいる桑田研究会・矢野康弘会長は、こうしたエロソングこそサザン桑田の「処世術」だという。
「印象的なのは94年のソロ期に『真夜中のダンディ』『月』『祭りのあと』など渋い曲のあとに曲想のまったく違うサザンで『マンピー』という曲をリリースしている点です。推察するに名曲で評価が高まったところであえてエロソングを発表してハードルを下げる。これがサザンがここまでやってこられた理由ではないでしょうか」
数ある“桃色”ソングの中でも矢野氏がお勧めなのは「めざましテレビ」(フジテレビ系)のテーマ曲になった「Early──」。
「朝の情報番組の依頼を受けて作った曲で、朝勃ちの歌を作るアナーキーさがスゴい。『いつまでも下も元気でいたい』という願望ソングなのかも‥‥」
さすがに、番組では曲間に挿入された女性の色っぽい声は放送されなかったが、朝から元気になる名曲に違いない。
居酒屋、ビーチ、スキー場、そして病院待合室でも、ところ構わず流れる桑田ソングはまさに国民歌謡。とはいえ、赤裸々な曲まで愛されるのはなぜ? という素朴な疑問も湧く。
前出・矢野氏が言う。
「桑田佳祐の書くエロソングに共通している世界観は『中学生が妄想していそうなエロ』なんです。妄想ゆえに異様に変態的でありハチャメチャなんですが、反面リアリティがなく、エロい言葉でも爽やかに聞こえるのです」
「マンピーのG★スポット」など、サビこそお下劣そのものだが、その他の歌詞は意外に哲学的だったりと、そのバランス感覚の妙味が桑田流なのか──。
音楽評論家の宝泉薫氏はこう主張する。
「桑田の歌詞は未体験男子の妄想のようなもの。エロい言葉を並べても子供が下ネタを言って喜ぶ次元なので見逃されている。『クリといつまでも』などはその典型です」
どぎついフレーズを直情的、あるいは扇情的に熱唱することで、真逆の泣かせる珠玉の名曲が生まれるのかもしれない。
それにしても、これだけの下ネタを大量放出してもOLの好感度が高いのが桑田のニクイところ。
「それは、後ろに控えている奥さんの原由子の功績が大きいんです。桑田がどんなにハチャメチャをやっても『しょうがないわね』と原坊が見守っていることで、女性からも嫌われないのでしょう」(前出・宝泉氏)
原由子が加入する前の学生バンド「ピストン桑田とシリンダーズ」のままだったら、今の桑田はなかったかもしれない。
「こんなエロい曲で紫綬褒章? と疑問に思う人もいるでしょうが、大事なことは桑田が受章のコメントで最後に『大衆芸能を導いて来られた幾多の偉大なる先達たちのおかげ』と歌謡界の先輩たちに敬意を表している点です。そもそもちょっとエロい要素が入ってこそ歌謡曲なんです。その意味では、桑田こそ日本の歌謡曲の伝統をくむ人なんです」(前出・宝泉氏)
桑田の敬愛する三波春夫には「おまんた囃子」という持ち歌もあった。三波は大阪万博を「世界の国からこんにちは」で盛り上げたが、桑田は、きたる東京五輪をエロ要素たっぷりの歓待ブルースで沸かせてくれるかも!?