自民党の杉田水脈衆院議員(比例中国、安倍派)をめぐり、安倍晋三元首相のシンパ同士が激しく対立している。
発端となったのは、元TBS記者で「安倍番」だったジャーナリスト・山口敬之氏の情報発信だった。「岸田自民党は杉田水脈に公認を与えず、事実上政界引退させる」というものだ。これを評論家の小川榮太郎氏が「デマ」と断定して「開いた口がふさがらない」と批判する展開に。
山口氏は自身のメルマガやYouTube番組で「今まで書くかどうか、長らく悩んでいた」としながらも、
「杉田水脈さんは安倍晋三元首相が見出した、保守の女性闘士です。日本と日本人の為に戦っているからこそ、売国左翼に叩かれる。そんな杉田さんを守らないどころか、左翼を結託して永田町から放逐しようとしているのが、岸田文雄総裁と茂木敏充幹事長です。私は『国士を切り捨てる岸田文雄とその一味こそ政界を去れ』と主張します」
岸田首相と茂木幹事長を激しく非難したのだ。さらに追記として、こう呼びかけている。
「杉田水脈さんを政界から追放しようとしている岸田文雄のことを『安倍路線の継承者』などとほざいているエセジャーナリストや売国評論家よ、異論があるならぜひ私と公開討論しましょう」
これに黙っていないのが小川氏だった。自身のX(旧Twitter)やYouTube番組で、興奮気味に語ったのだ。いわく、
「本当にやめてほしい。杉田さんを本当に政界から追放するのは、山口さんのまったく根拠のない…。こんなのを保守派がワーワーやったら、杉田さんの政治生命が終わります」
小川氏はさらに言う。
「杉田氏が次期衆院選に出る可能性は低い。(山口氏は)思わせぶりに裏があるようなことをおっしゃっているが、複雑な裏はない。単独比例で3回目は、慣例によりない」
杉田氏は日本維新の会から初当選したが、次の選挙で落選。2017年の衆院選で安倍元首相が推したこともあり、比例中国ブロックから出馬すると、2回続けて当選した。安倍元首相が暗殺され、事実上、後ろ盾を失っており、次期衆院選での出馬は困難。2025年の参院選への出馬が取り沙汰されている。
杉田氏は落選中の2016年、国連女性差別撤廃委員会の参加者について「チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場」とSNSに投稿したことについて、9月に札幌法務局から人権侵犯の事実があったと認定された。にもかかわらず、このほど党環境部会長代理に就いている。同じ安倍シンパの対立に困惑する杉田氏は、今のところ沈黙している。
(喜多長夫/政治ジャーナリスト)