つまり、「三審制」と呼ばれる日本の司法制度の仕組みが大きな足かせとなって、最終判決まで時間を要すことになり、早期解決とはいかないというわけだ。
この解散命令が確定するまでの〝空白期間〟は旧統一教会にとって好都合。被害者の救済を支援する全国弁連関係者が法の盲点について指摘する。
「宗教法人法では、解散命令が確定した時点で清算人が選定され、そこで初めて教団の財産を差し押さえることができる。つまり確定するまでの期間は、財産を差し押さえることができないのです。従って、この間に教団が国内の不動産を売却して現金化し、韓国本部に送金することなども可能。仮に解散命令が確定した時点で国内の教団法人の口座に預金がほとんど残っていなければ、被害者への損害賠償は難しくなります。全国弁連では、解散命令を請求した時点で財産を差し押さえることができる特別措置法の制定を求めてきました」
もちろん、解散命令請求の決定は、旧統一教会にとって痛手にはなる。
「解散命令が確定すると、旧統一教会は宗教法人格を失うことになります。税制面での優遇が受けられなくなり、法人として不動産なども所有できなくなる。また、反社会性のある団体として認定されることで、新たな被害を抑止する効果もあるでしょう。そうなれば、被害者である信者たちが教団を離れるきっかけにもなり、ある程度は弱体化すると思います」(全国弁連関係者)
しかし旧統一教会への解散命令が決定したとしても、一件落着とはいかないようである。結局、信教の自由はあるため、今後も旧統一教会が国内において任意の宗教団体として活動を継続することはできるのだ。
鈴木氏はこのことに大きな懸念を抱いている。
「これまで同様に信者たちに多額の献金を強要して、韓国の本部に送金することができます。本質的な被害が起こりうる構造はまったく変わらないんです。現状で韓国の教団本部は不動産の地上権や資産管理団体を巡る分派との裁判で敗訴し、その賠償金などで1000億円近くの負債を背負っているといわれている。以前のように日本から韓国本部に年間数百億円が渡るような状況ではないため、ジリ貧に陥っているようです」
韓国の教団聖地・清平では切れ目なく修練会等が開かれていて、日本から渡韓する信者に現金を運ばせているのではないかという指摘もある。
「教団がお金集めに奔走していることがうかがい知れます。解散命令請求が決定したあとも、残った信者たちに対する献金強要がさらにエスカレートする可能性がありますね」(鈴木氏)