解散命令請求の最終的な決断が下される宗教審議会の翌10月13日には、くしくも山上被告の公判前整理手続きが行われる。
だからこそ注目されるのが、霊感商法の実態以上にまだ解明されていない疑惑だ。旧統一教会による不可解な政治への介入、半世紀にもわたって与党である自民党との間に続いた、ただならぬ蜜月関係である。
岸田文雄総理(66)は、旧統一教会との関係を断つことを自民党の基本方針にすると表明しているが、現状では具体的な検証や説明はなされていない。自民党関係者が重い口を開く。
「うやむやのまま幕引きしたいというのが本音だ。ただ、そのためには世間の目を欺く目くらましが必要になります。そのために、解散命令請求を利用しようとしているフシがある。自民党の幹部連中からは反対の声もあった中、それを押し切って解散命令請求を出すのですからね」
旧統一教会を巡る問題には一区切りついたと、収束を図りたいのだろう。
政治利用することも透けて見える。実は解散命令請求の準備は夏前にはほぼ完了していて、いつでも東京地裁に申し立てすることができたはずなのに、
「被害者の方々を最優先するなら、一刻も早く出すべきでしたが、解散命令請求は有効な政治カードにもなる。党内でタイミングを見定めているようでした。10月22日に衆院・参院の2補選が行われます。やるなら今がベストという判断になったのです」(自民党関係者)
とてもじゃないが、旧統一教会と政権与党のズブズブの関係が完全に切れたとは思えない。
同教団との関係を巡り「説明責任を果たしていない」と追及されながらごまかし続けた細田博之氏(79)が、体調不良を理由に衆院議長辞任の意向を示した直後にしれっと次期衆院選出馬を表明する始末である。
数々の疑惑を風化させないためにも、鈴木氏は提言する。
「今回の解散命令請求はゴールではなくスタート。被害者のお金が、自民党議員に流れてきた可能性だってある。今後、宗教法人格はなくなっても、関連の政治団体がロビー活動を行うかもしれない。元総理が殺されるきっかけにもなった問題でもあり、第三者委員会を立ち上げるなど、国民が納得する総括的な調査・検証をすべきでしょう」
国民を欺くような顚末を迎えるのであれば、それこそ旧統一教会と何ら変わらないではないか。