東京商工リサーチが、「お好み焼き・焼きそば・たこ焼店」の倒産が急増しているとの調査結果を明らかにした。2023年上半期(4~9月)の倒産件数は前年同期の6倍であり、この15年で2番目に高い水準となっている。
「23年上半期の『お好み焼き・焼きそば・たこ焼店』の倒産は12件となりました。割合としては、お好み焼き屋が9件と最も多く、たこ焼き屋が2件、その他が1件なっています。こうした粉もんを扱う店は、小麦粉や卵などの材料費が高騰した影響を大きく受けており、加えて光熱費や人件費の上昇も大きな負担になったと考えられます」(フードジャーナリスト)
なお、東京商工リサーチが調査した倒産原因としては「販売不振」が7件と最も多い理由となっている。コロナの5類移行で人流は回復し、外食チェーンでは営業利益が過去最高を更新するところもあって、多くが増収となっている。そんな中でも「お好み焼き・焼きそば・たこ焼店」が販売不振に陥ったのは、材料費などの高騰による値上げだけが原因ではないという。
象印マホービンが22年に実施したアンケート調査によると、コロナ禍で新しく購入した調理器具の第1位は「ホットプレート」だったそうで、ホットプレートでよく作る料理の2位は「お好み焼き・もんじゃ焼き」、3位は「たこ焼き」、4位は「やきそば」と粉もん勢が上位を占めた。また、リンクアンドコミュニケーションが20年に実施した調査では、コロナ禍に入ってお好み焼き・たこ焼き・焼きそばを食べる人が急増し、特に朝食時にお好み焼きやたこ焼きを食べる人はコロナ禍前の約4.7倍まで増加していたのだ。
「要するに、コロナ禍にはお家でお好み焼きやたこ焼き、焼きそばを作って食べた人が非常に多かったということ。また粉もん系の冷凍食品の売上も増加したというデータもあることから、コロナが落ち着いて自由に外食が出来るとなった時に、『お好み焼き・焼きそば・たこ焼店』は選ばれにくかったという背景があったのではないでしょうか。そんな中で、材料費などの高騰も重なって倒産せざるを得ない状況になってしまったのだと思います」(前出・フードジャーナリスト)
コロナ禍以降もホットプレートをそのまま愛用する家庭は多いため、「お好み焼き・焼きそば・たこ焼店」は今後も厳しい経営を迫られるかもしれない。
(小林洋三)