◆四方山話「メーカーの倒産」◆
去る4月の半ばに老舗メーカーの奥村遊機が破産手続きを行い、事実上、倒産しました。今年は同じく、老舗のマルホン工業も年始早々に倒産し、昨年末にはラスターというパチスロの老舗メーカーが倒産。ここにきての相次ぐ倒産は、パチンコ離れや人口減少に加えて、居酒屋・飲み屋・風俗・ケータイアプリなどの「飲む・打つ・買う」の各業界と競って、客を奪われたのが敗因でしょう。
「パチンコ2回で5万円負けるぐらいなら、3000円程度の酒場に行けばひと月楽しめる。そのほうが有意義」というライバルにパチンコは負けたのです。
それを如実に表すように、今の酒場の客は本当に楽しそう。パチンコ店はアルコール禁止で酒とは両立できないため、酒場とはガチで張り合うのが必然。ならば「暇つぶしで3000円、長居で7000円」「酔狂な人は3万円使う」といういわゆる“夜の店”のレートが、パチンコ本来の上限であるはずなのです。
ちょうど、タイアップ物や液晶演出に頼ったパチンコにお客も飽きてきた雰囲気ですし、近い将来メーカーは生き残りを賭けて、これら負の遺産をカットした低価格設定の決断を迫られるでしょう。
◆「カジノとは無関係」◆
ところでこの流れ、「ひょっとしてカジノ構想と絡んでいるのでは?」とお考えの方もいるかもしれませんが、これらはまったく無関係。ちなみに、そのカジノ構想が現在どうなっているのかといいますと、政権与党がコロコロ変わったことも影響し、衆議院解散後から数えて半年チョイで、ようやく国会に再提出されるという迷走状態です。
推測するに、この先カジノは東京オリンピックに合わせて、田町の隣の山手線新駅か、江東区あたりの高級ホテルにポツンと「仮想1号特区」をこしらえる程度になるだろうと私は考えます。
◆実戦指南「ファンには影響なし」◆
ところでファンの興味は「これら倒産が出玉に影響するのか?」なわけですが、結論から言うと、影響なしと思って大丈夫です。ファミレスやガソリンスタンドと比較してください。あれほどの業界でも閉店、倒産は宿命で、パチンコがずっと安泰だったことのほうが異常なのです。ファミレスやGSがその後、底打ちを経て、今なお消費者の生活に根づいている様子を見るにつけ、「パチンコもそんな感じでしょ」程度に思って問題ないでしょう。
◆プロフィール 浜田正則(はまだ・まさのり) パチンコ生活歴29年。業界寄りの記述をする「パチンコライター」とは一線を画し、ファン目線で真実のみを文章につづる「ギャンブルライター」として18年目を迎える。漫画の原作者としても活躍しており、作品は多数。