今週は京都で「マイルCS」が行われるが、注目は昨年の覇者トーセンラーだろう。コンビを組む武豊騎手は同レース2連覇中。今年も上位人気が予想される中、水戸&片山が期待を寄せるのは重賞未勝利馬のフィエロだ。
マイルCSが今週のメイン。毎年のこと顔ぶれがいい。今回も豪華版だ。
登録馬20頭のうち15頭が重賞勝ち馬。GI勝ちも6頭を数える。また、京都のマイル戦は瞬発力が要求され、大接戦になるケースが多い。勝負どころでの騎手の瞬時の判断力が重要ということだが、裏を返せば、それだけ各馬の能力に大きな開きがないということでもある。
ということで、馬券的には難解な一戦と言っていいだろう。
まずは、どんな特徴があるだろうか。秋のGIには共通して言えることだが、4、5歳馬、特に牡馬のそれが圧倒的に強い。最も充実期にあるからだろうが、伸び盛りの3歳馬も斤量差を生かして好走するケースが少なくなく、今回に関してはミッキーアイル、タガノグランパは要注意馬ということになろうか。
いずれにしても大混戦であることは間違いなしだ。
昨年の覇者トーセンラー、前哨戦のスワンSを制した快速ミッキーアイルが最有力と見られているが、むろんのこと、絶対視は断じてできない。
トーセンラーは、昨年同様、京都大賞典3着からの挑戦だが、長い距離を使ってきたのは決してプラスにはなるまい。そもそも昨年の顔ぶれより、今年のほうがハイレベルだ。
ミッキーアイルもまた前走は思いのほか展開に恵まれた。それにまだ余裕残しの体つきだったことを思うと、その反動が気になるところでもある。
くどいようだが、各馬の力量差はわずか。簡単には決まるまい。
穴党として最も期待したいのは、フィエロだ。重賞勝ちがないということで、評価がそれほどでもないようならシメたものだ。
5歳であることから狙いは立つが、この馬は正真正銘、まさに今、充実期を迎えようとしているのだ。体質がひ弱で、なんとデビューしたのが3歳の夏。が、その未勝利戦を勝ったところがすごい。
「まだ仕上がり途上。納得いく状態ではなかった」(藤原英調教師)ながら、強烈な末脚で差し切り勝ちを演じたのだから恐れ入る。
関係者の期待度が高まるのは当然だが、それでもその反動で半年以上の休養を余儀なくされてしまった。使っては休養というのが、そのあと何度も続いたが、それでも着実に勝ち星を重ねていった。
いかに秘めた能力が高いかは明らかだが、この春、1600万条件を勝ち上がったあと挑んだGIIマイラーズCでレコード勝ちしたワールドエースの2着に頑張ってみせたことは、大いに評価すべきだろう。
続く安田記念は泥田のような不良馬場が災いして8着と敗れたが、その後はひと夏の成長を待って休養に入ったのが奏功した。
秋初戦となった前走、スワンSは前走比14キロ増の体重。それでいて重め感なく、不向きな流れの中、ミッキーアイルにコンマ1秒差まで肉薄してみせた。どれだけたくましくなって秋を迎えたかは、容易に想像できることだ。
「キャリアが浅く、休み休み使ってきたので、5歳馬と思えぬほど肉体は若々しい。使われてさらに良化しているし、どんな競馬をしてくれるか本当に楽しみ」
藤原師はじめ、厩舎スタッフは口をそろえこう期待感をあらわにするが、それは実績、仕上がり状態だけでなく、血統からして明らかだ。全欧年度代表馬ロックオブジブラルタル(英2000ギニーなどGI7勝)をオジに持つ良血。良馬場条件に頭から狙い撃ちといきたい。
連下は手広く流したいと思うが、復活の兆しが見えるロゴタイプ、エキストラエンドは厚めに買いたいところだ。
◆アサヒ芸能11/18発売(11/27号)より