今週は春のスプリント王決定戦「高松宮記念」が中京で行われる。ビッグアーサーが勝利した昨年は1、2、3番人気の順という堅い決着だったが、今年は傑出馬不在の混戦ムード。大波乱があってもおかしくない!
今週のメインは中京競馬場が舞台。その高松宮記念は、今年のGI第2弾だ。
昨年の1、2着ビッグアーサー、ミッキーアイルの名はなく、昨秋に行われたスプリンターズSの覇者レッドファルクスは出走してくるものの、ここは3カ月ぶりの実戦。中京の芝コース(3戦全勝)をめっぽう得意としているが、臨戦態勢をきっちり整えられているかどうか、微妙なところだ。
前哨戦の阪急杯では、有力視されていたシュウジがまさかの8着。もう1つの前哨戦オーシャンSは順当に収まったが、1、2着はともに牝馬で、勝ったメラグラーナは、これが初重賞勝ち。目下連勝中で勢いに乗ってはいるが、役者不足という印象はぬぐえない。
あとは京都牝馬Sを制して復活したレッツゴードンキに期待が高まるが、全幅の信頼を寄せられるまでには至らないだろう。
スター、あるいはその候補が見当たらないのであれば、このGI、これまでになかったような混戦模様と言っていいのではないか。とにかく難解な一戦だ。
データをひもといてみよう。03年に馬単が導入されて以降、これまでの14年間、その馬単で万馬券になったのは4回(馬連2回)。この間、1番人気馬は4勝(2着1回)、2番人気馬は2勝(2着4回)。1、2番人気馬のワンツーも何度かあったが、やや波乱含みのGIであるようだ。
年齢的にはどうだろう。圧倒的に5歳馬が良績を残しており、続いて6歳馬の善戦も目立つ。ただ、少ないわりに高齢馬が頑張っており、近走の成績が悪くないようなら軽く見るのは禁物だ。また、短い距離では牝馬が牡馬に負けず互角に渡り合っている。有力どころに牝馬が多い今回は、その牝馬を中心に据えるのも一考か。
以上のことを念頭に、勝ち馬をあぶり出していこうではないか。とはいっても、前述したように、今回はかつてなかったような混戦模様。一筋縄で収まりにくいことは確かなようだ。
若くて生きのいい4、5歳馬に全幅の信頼を寄せ切れるだけの馬が見当たらないのであれば、ちょっとヒネってみようか。少ないながら出走してくれば善戦、健闘してくれる高齢馬に期待する。
狙いは8歳馬のフィエロだ。衰え知らずで、前走の京都金杯では57.5キロのハンデ頭ながら勝ったエアスピネル(56.5キロ)にコンマ1秒差の3着と頑張ってみせた。その後は短期放牧でリフレッシュ。ここを照準にしっかりと調教を積んできている。
「重め感なく、実にいい雰囲気に仕上がっている。中間の稽古内容も文句なく、力を出せる仕上がり状態にある」
こう力説するのは藤原英調教師。ならば、2カ月半ぶりの実戦になるものの、鉄砲駆けが利くタイプだけに、大いに注目すべきではないか。
前走後、ここ一本に的をしぼって調整してきたのは中京コースとの相性が抜群だから。半年ぶりになったデビュー2戦目で凡走した以外は、3戦して全勝。厩舎サイドが力を込めて仕上げてくるのは納得である。
問題は6ハロン戦が初めてという点だろう。が、GIスプリントカップ(6ハロン)を勝ったデインヒルが母の父で、その影響を受け継いでか、勝ち気で悍性が強い馬。胴が短い短距離タイプの体型でもあり、むしろスプリント戦は向いているのではないだろうか。
マイルのGI戦で善戦し続けていたことを思えば、能力も十分足りていいはずだ。
近親に全欧3歳王者になったロックオブジブラルタル(英・愛2000ギニーなどGI7勝)がいる良血。頂点に立つにふさわしい血統馬でもある。