今季で巨人との5年契約が切れる丸佳浩の扱いを、球界関係者が注視している。
日本野球機構は10月23日、FA有資格者として巨人の中田翔、西武・山川穂高、楽天の松井裕樹ら106人を公示した。女性問題で球団から無期限の出場停止処分を受けていた山川や、阿部慎之助監督の誕生で、来季はレギュラーとしての出場機会を失うことになる中田の権利行使は大きな焦点となるが、他球団が気にしているのは、丸なのだという。スポーツ紙デスクが語る。
「事件発覚後、実戦から遠ざかっていた山川や、明らかに力が落ちている中田より、三拍子揃った丸の方がいいと思っている球団は多いと思います」
丸は今季、不振にあえぎ、出場111試合で打率2割4分4厘、18本塁打、47打点に終わった。だが2017、18年と連続でセ・リーグのMVPを獲得した、球界を代表する左打者。広島時代から丸を知る球界OBも、その実力を高く評価している。
「まだまだ力はあると思う。環境を変えて出直せば、中軸打者として活躍できる」
ただ、丸の今季の年俸は推定4億5000万円。丸自身は「僕がFAしたところで、っていう話。どうこうは考えていない」と、残留の意思を示しているが、仮に丸がFA宣言して獲得すれば大金が必要な上に、人的補償もいる。手を出しにくい状況だが、実はとある情報が駆けめぐり始めていた。
「そのままノンテンダー(自由契約)で放り出されることはないでしょうが、逆に巨人がFAで選手を獲得した場合、相手チームに差し出す人的補償リストに入る可能性がある。工藤公康や江藤智などFAで巨人に入団した名選手も、それで他球団に移籍していますからね。巨人は阿部監督になり、FA市場では積極的に動くはず。選手が巨人に移籍したチームは、補償リストに丸の名前があれば間違いなく飛びつくでしょう」(前出・スポーツ紙デスク)
来季は今年のドラフト1位・浅野翔吾の台頭も期待できるだけに、たとえチームに残留しても、今季より厳しい現実が待っている。優勝請負人と呼ばれた丸が、正念場を迎えたようだ。
(阿部勝彦)