1月23日、ナゴヤ球場で松坂大輔の入団テストが行われ、直後の会見で「合格」が、本人の口から発表された。テストは報道陣シャットアウトの中、中日・森繁和監督らの首脳陣、編成担当の前でブルペン投球を行った模様。森監督は2月1日から始まる1軍キャンプに参加させることを明言し、「変化球も何種類か投げてくれて、ハッキリ言ったらこのままずっと見たいという気持ちになった(中略)ウチのチームでどれだけ出し切ってくれるか、気持ちよく野球をさせてあげる環境にしてあげたい」と話した。
昨季まで3年間在籍したソフトバンクでは、1軍登板がわずか1試合。しかも1イニングで降板しているが、森監督は以前、中日に在籍した“ある選手”の姿を思い浮かべているのかも知れない。スポーツ紙記者が話す。
「2000年オフにヤクルトから中日にFAで入団した川崎憲次郎です。かつては沢村賞も獲得したヤクルトのエースでしたが、肩を痛めていたせいで、中日入団後3年間、1度も1軍で登板しませんでした。しかし04年の開幕戦、このシーズンから監督に就任した落合博満の“オレ流奇策”で開幕投手に抜擢されました。その際に、投手コーチを務めていたのが、現中日監督の森です」
件の開幕戦、川崎は2回に5失点し降板となったものの、打線が奮起してチームは逆転勝利を収めた。ちなみに、このシーズンに中日はリーグ優勝を果たしている。
「森監督には、この時の光景が頭をよぎっているかも知れない。松坂大輔が西武に入団した1999年、森監督は西武の2軍投手コーチだった縁もある。今回のテストも、事前に『顔を見れればいい』と“内定”を出していたことからも、松坂に対し、並々ならぬ思いがあったことが予想できます。キャンプやオープン戦の状況次第ではありますが、川崎のように、いきなり開幕戦でどこまでやれるかを試すという可能性も…」(前出・スポーツ紙記者)
3月30日に開幕する今シーズン、開幕カードは中日×広島戦。奇遇にも、川崎が開幕投手を務めた試合と同一カード。果たして、全国の野球ファンを驚かせる“奇策”は飛び出すのだろうか?